25%関税通告……外交失敗のツケを国民が払わされることになるのか?(令和7年7月10日 木曜日)
- 那住行政書士事務所

- 7月10日
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更新日:7月21日
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参議院議員選挙も中盤戦に突入。神奈川県は4議席を巡って様々な政党がしのぎを削っていることもあり、連日、党首・党幹部クラスが来県し、大変賑やかな選挙になっています。新興政党の躍進も噂されるなか、新聞紙上でも様々選挙報道が為されていますが、昨日の新聞は選挙報道よりも、”トランプ関税”を巡るニュースが、紙面では目立ちました。
2025年7月7日、トランプ米大統領が日本政府に対し、「8月1日から25%の関税を課す」と通告する書簡を送付しました。このことははっきり言ってしまえば、石破政権が行っていた外交の失敗、無策と言えます。そして経済への深刻な打撃を象徴するものとして、国内に大きな衝撃をもたらしています。
石破茂首相は9日、参議院議員選挙の街頭演説で「(米国との関税交渉は)国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか。私たちは言うべきことは、たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」と述べたと報じられています。(読売新聞 他)。選挙向けのパフォーマンスとしては良い発言かもしれませんが、この発言で、アメリカの強硬姿勢を前に、3か月にわたって繰り返された交渉は、残念ながら何の成果も生まなかったという事実を、覆すことはできません。
◆むなしい、現地での電話会談
今回の交渉を担ったのは、赤沢経済再生相――事実上の「外務大臣役」として交渉の前面に立ってきました。彼は4月以降、7回も訪米し、ラトニック商務長官やベッセント財務長官らと協議を重ねてきました。
しかし、現地で何が行われていたのかといえば、トランプ大統領とは一度も対面せず、滞在中に電話会談を行うという、外交としては非効率極まりない対応に終始したのです。最も重要な意思決定者に直接会えないという状況で、成果が出るはずもありません。
また、6月のG7首脳会談では、石破首相が「自動車は国益」と譲らなかったことも交渉の決裂に繋がったと見られています。
もちろん国益を守ることは重要ですが、代替案を示さずただ拒むだけでは、交渉にはなりません。
各報道では、トランプ大統領の書簡の内容も報じられています。この書簡を読むと、日米関係に対する厳しい姿勢がにじみ出ています。
「互恵的でない」「国家安全保障上の脅威」「国内製造を優遇」これらの文言は、日本側が提示してきた農産品輸入や投資拡大の提案に対して、何ら信頼や評価を示していないことを物語っています。
それにもかかわらず、石破首相は「まだ交渉の余地がある」と繰り返しており、現状を正しく把握できているとは言いがたい状況です。
◆中小企業等に与える影響は?
今回の25%関税は、自動車・鉄鋼など従来の関税分野とは別枠で課されます。これにより、日本からの輸出製品全体が対象となる可能性が高く、企業活動に大きな混乱をもたらすことは避けられません。
特に自動車やコンピュータ・電子機器関連の中小製造業者・下請け業者は、製品が価格競争力の急落により、輸出の大幅な減少から、厳しい影響を受ける可能性があります。貿易・物流事業者も米国向け輸送の減少、サプライチェーンの再構築が必要となる場面も出てくるでしょう。
政府は早急に対策を講じるべきであり、企業側も「構造転換」に向けた準備を始めなければなりません。
交渉の延長期限とされている8月1日まで、残された時間はわずかです。
◆石破首相は早急に動き、対応すべきだ
参議院選挙の最中です。選挙対応もあることでしょう。しかしアメリカにとって、日本の選挙は全く関係ありません。すでに8月1日という期限が示されている以上、選挙だなんだと言わず、電話や閣僚任せの限界がすでに見えていることから、早急に首相自らが渡米し、トランプ大統領との直接交渉に臨むことが必要でないかと思います。
その一方で、関税が発動された場合、影響を受ける事業者への対策も、早急に検討し打ち出すべきです。
また同じく通告を受けたアジア諸国と連携し、米国の政策に対し国際的な包囲網を形成する外交戦略も求められます。
早急にやるべきことが多々あります。
25%という数字は、石破政権による外交戦略の失敗、政治の不作為を象徴する数字です。赤沢氏の“会えない外交”と、石破首相の“楽観姿勢”がもたらした現実は、企業や働く人々に重くのしかかっています。
政府は早急に方向転換を行い、企業は冷静にリスク管理を強化し、そして私たち法務実務家は企業への支援を出来る限り行うことが重要です。
一日も早い”まともな外交”を願います。
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