令和7年4月28日 月曜日~振り替える「氷河期世代のリアル」(2)
- 那住行政書士事務所
- 4月28日
- 読了時間: 9分

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おはようございます!
GWの前半、本欄では「氷河期世代」の問題について少し書きたいと思います。本日は氷河期世代が直面する問題について……
▼「自己責任」では片付かない問題
ゴールデンウィーク真っ只中、街には新社会人たちのフレッシュな姿があふれています。そんな風景を見ていると、ふと、自分たち氷河期世代の歩んできた道のりを、改めて考えずにはいられません。
私は1977年生まれ。まさに「就職氷河期世代」のど真ん中で社会に出た一人です。
昨日のブログでは、「就職氷河期とは何だったのか」について、少し個人的な体験も交えながら書きました。
今日は、その続きとして、いま氷河期世代がどんな問題に直面しているのか、そしてそれがなぜ「個人の努力不足」で済まされない問題なのかを、少し掘り下げてみたいと思います。
―「正社員になれなかった」だけじゃない、氷河期世代のリアル
就職氷河期世代の問題点としてよく指摘されるのは、「正社員になれなかった世代」というイメージです。「新卒一括採用」が極端に狭き門となり、新卒時の就職が難しかっただけでなく、その後も、小泉改革による中小企業の減少、そしてリーマンショックなどの出来事で、「採用される機会」が失われ続けてきました。
確かに正社員になれなかったことも大きな側面です。しかし、問題はもっと根深く、そして複雑です。
―キャリア形成の機会を奪われた
氷河期世代が直面した最大の問題のひとつが、「キャリア形成の初期段階を奪われた」という現実です。
社会に出た直後、本来なら新卒として基礎的な研修を受け、じっくり時間をかけて経験を積み、次のステップへと進んでいくはずでした。しかし、氷河期世代の多くは、そもそも「正社員」という立場を得ることすらできなかったのです。2001年に「新卒」と言う立場であった私が感じた率直な感想は「正社員」といものが、何か特別な資格であるかのように感じました。それまでの世代であれば、新卒で正社員になることは、当たり前のことであったのかもしれません。しかし少なくとも私の世代は、そのことが特別なことであるかのようにも感じたのです。
派遣社員、契約社員、アルバイト……。こうした不安定な雇用形態では、社内でのOJT(On the Job Training=職場内訓練)も、責任ある業務経験も与えられにくく、スキルや実績を積み上げるチャンスを長期間得られないまま、年齢だけが上がっていきました。
たとえば、営業職でも「正社員なら取引先との交渉担当になれたはずなのに、派遣社員だから内勤業務しか任されない」、技術職でも「契約社員だからプロジェクトの中核には入れてもらえない」……そんなケースが頻発していました。
その結果、30代になっても「実務経験が浅い」とみなされ、正社員登用を目指しても「即戦力がない」と評価されてしまう。この「経験不足の悪循環」が、氷河期世代に重くのしかかり続けたのです。
そして今、社会は「中堅層が足りない」「管理職候補がいない」と嘆いていますが、そもそもその芽を摘んでしまったのは、あの時代の社会全体だったのではないか。そんな思いも拭えません。
ー貯蓄・資産形成が進まなかった
安定したキャリアを積めなかったことは、当然ながら「収入の安定性・上昇性」にも直結しました。
氷河期世代の多くは、新卒時点で非正規雇用を余儀なくされ、仮に正社員になれたとしても、当初の待遇は非常に低い水準に抑えられていました。結果として、20代・30代の「資産形成のスタートダッシュ」を逃してしまったのです。
一般的に、20代後半から30代にかけては、昇給やボーナス、結婚・出産を経て、住宅取得や老後資金の積み立てを本格化させていく時期とされています。しかし氷河期世代は、その多くが「収入が不安定なまま」、貯蓄を十分に進めることができませんでした。
特に、リーマンショック(2008年)や、東日本大震災(2011年)といった、社会全体に大打撃を与える出来事が重なったことも、ダメージをさらに深めました。就職活動で失敗し、派遣切りに遭い、わずかに溜めた貯金を生活費に切り崩していく。そんな「下流化」の現実を、肌で感じた世代でもあります。
最近では「新NISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」など、資産形成を促す制度が整備されつつありますが、「そもそも投資に回せるお金がない」という人が、氷河期世代には少なくないという悲しい現実もまた存在しています。
ー社会保障の壁
さらに深刻なのが、社会保障制度との相性の悪さです。
日本の社会保障制度は、原則「安定雇用・長期雇用」を前提に設計されています。つまり、「正社員として長期間働き続け、厚生年金に加入し続ける」ことがモデルケースなのです。
しかし氷河期世代の多くは、若い時期に非正規雇用を余儀なくされ、正社員になるチャンスも限られていました。
その結果、厚生年金ではなく国民年金(自営業者や非正規向けの年金)に加入している期間が長くなってしまったのです。
国民年金だけでは、将来受け取れる年金額は非常に低い水準にとどまります。厚生年金と比べると、生涯受給額で数千万円単位の差が出ることも珍しくありません。つまり、氷河期世代は、老後に「年金だけでは暮らせない」リスクを、他の世代よりも圧倒的に高く背負わされているのです。
さらに、低収入による医療費負担の重さ、失業手当や生活保護といったセーフティネットへのアクセスの困難さも問題です。生活が不安定なため、必要な支援制度の情報にたどり着けなかったり、手続きの複雑さで諦めてしまったりする人も少なくありません。
近年、政府は「就職氷河期世代支援プログラム」や「生活困窮者自立支援制度」などの施策を打ち出していますが、本来であればこの世代にこそ、もっと早く、もっと手厚い支援が必要だったと言わざるを得ない状況です。
今後、氷河期世代が60歳・70歳と高齢期に差しかかる中で、年金だけでは生活が成り立たない高齢者が急増する可能性が指摘されています。この「高齢貧困」の問題は、もはや氷河期世代だけの問題ではなく、日本社会全体の持続可能性に直結する大問題となりつつあります。
―「今さら支援されても遅い」という声と、現実的な希望
最近になって、政治が「氷河期世代支援」を声高に掲げるようになってきました。政府だけでなく、各政党がこぞって政策を打ち出しているのは事実です。
ただ、正直なところ、今さら何を言っているんだ、遅すぎる! と思います。しかし一方で、今が本当に、最後のチャンスかもしれない、とも思います。
今、40代後半から50代前半。まだ体力もあり、知識もあり、働く意欲を持っている。社会に貢献できるポテンシャルは、十分にある世代なのです。
「今さら支援しても無駄」と諦めるのではなく、「今からでも社会全体で巻き返す」ことを、真剣に考えるべきなのではないか、と思います。
―問題は"救済"ではなく、"活躍"への道をどう作るか
氷河期世代を「救済対象」として見るだけでは、問題は解決しません。大事なのは、
この世代がどう活躍し、社会に貢献できるかという道筋を、現実的に整えることだと思います。
そのために政府は具体的な施策を、素早く出して行く必要があります。
・中高年向けのリスキリング(学び直し)
・柔軟な働き方を認める雇用政策
・セーフティーネットの充実
・地方での新しい働き方支援
・副業・起業支援の拡大
・特定の世代の採用を促進する補助・助成
こういった現実的な支援策が必要です。
例えば「リスキリング」と「補助・助成」を組み合わせる方法もあります。企業が経験の少ない人材に多くの給与を払えません。そこで経験をつませるために、リスキリングの機会を用意し、雇用を促進しその世代の実質的実入りを増やすために「補助・助成」を行う。
また「副業・起業支援の拡大」などの政策には、我々、行政書士をうまく使って頂いても良いと思います。起業の伴走者として、様々なな対応が行えます。
単なる「補助・助成」などお金を出すだけではなく、「成長できる機会」を社会全体で作っていく。その視点が、これからの議論には絶対に欠かせないと感じます。
明日は、氷河期世代を取り巻く「これからの課題と展望」について、さらに一歩踏み込んで考えてみたいと思います。
私たちは、失われた時代を生きた世代かもしれない。
でも、それでもまだ、「未来」をつかむチャンスは残っていると、信じたいのです。
(photo/AC)
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