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相続はある日突然やってきます。そしてどんな人にもやってきます。いざ相続が始った時、どのような手続きをとっていったらよいのか、具体的にお話を続けていきます。
今日は「相続の開始」についてのお話です。
具体的に相続の開始とは
一般的に相続の開始とは、被相続人の死亡と同時開始することとなります。民法には相続の開始とその場所について、以下の通り定めています。
民法
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
(相続開始の場所)
第八百八十三条 相続は、被相続人の住所において開始する。
この「死亡」とは、一般的にはお医者さんが診断して、医学的に「死亡」と判断することによって「死亡」となりますが、例外もあります。事故や天才により、もしくは失踪により生死が不明の場合です。生死が不明の場合の手続きについては、次回、本稿で取り上げます。
相続の開始時にまず行う手続き~死亡届の提出、火埋葬許可証の受領
相続が発生した際、まず行わなくてはならない手続きは何か。それは死亡届の提出です。通常の死亡の場合、医師より発行してもらう「死亡診断書」もしくは「死体検案書」を、市区長村役場等に提出します。誰が提出するのか、戸籍法という法律では①同居の親族②その他の同居者③家主、地主、または家屋もしくは土地の管理者④同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者が、届け出ることとしています。①~④には順序が無く、だれば届け出ても良いこととなっています。届出の期間は、死亡の事実を知ってから原則7日以内となっています。
Point!
死亡届
添付書類:死亡診断書 もしくは 死体検案書
期限 :死亡の事実を知つた日から七日以内
(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)
届出者 :①同居の親族
②その他の同居者
③家主、地主、または家屋もしくは土地の管理者
④同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者
届出先 :①被相続人(死亡者)の本籍地
②届出人の所在地
③死亡地
いずれかの市区町村役場
届出費用:無料
戸籍法
第二十五条 届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。
②外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。
第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
②届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一死亡の年月日時分及び場所
二その他法務省令で定める事項
③やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。
第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一同居の親族
第二その他の同居者
第三家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
②死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。
第八十八条 死亡の届出は、死亡地でこれをすることができる。
②死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で、汽車その他の交通機関の中で死亡があつたときは死体をその交通機関から降ろした地で、航海日誌を備えない船舶の中で死亡があつたときはその船舶が最初に入港した地で、死亡の届出をすることができる。
一般的には死亡届の届出と一緒に「火埋葬許可」の申請も行います。これはご遺体を火葬、埋葬するための許可となります。伝染病等特別な場合を除き、死亡後24時間を超えたあとで無ければ、申請を行うことができません。
Point!
火埋葬許可
添付書類:なし
期限 :原則死亡から24時間後より。火葬、埋葬をしようとするとき。
申請者 :火葬・埋葬を行おうとする者
申請先 :死亡届を受理した市区町村役場
申請費用:各市区町村役場による。
墓地、埋葬等に関する法律
第三条 埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則
第一条 墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号。以下「法」という。)第五条第一項の規定により、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の埋葬又は火葬の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を、同条第二項に規定する市町村長に提出しなければならない。
一 死亡者の本籍、住所、氏名(死産の場合は、父母の本籍、住所、氏名)
二 死亡者の性別(死産の場合は、死児の性別)
三 死亡者の出生年月日(死産の場合は、妊娠月数)
四 死因(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第二項から第四項まで及び第七項に規定する感染症、同条第八項に規定する感染症のうち同法第四十四条の九第一項に規定する政令により当該感染症について同法第三十条の規定が準用されるもの並びに同法第六条第九項に規定する感染症、その他の別)
五 死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)
六 死亡場所(死産の場合は、分べん場所)
七 埋葬又は火葬場所
八 申請者の住所、氏名及び死亡者との続柄
迷ったら、行政書士にご相談ください
重要なのは、焦らずに必要な情報を集め、適切に手続きを進めることです。相続は、人生の大きな節目の一つです。手続きをスムーズに進めることで、故人の遺志を尊重し、遺族が新たな一歩を踏み出せるよう、しっかりと進めていきましょう。
また、日頃から遺言書を作成し、相続財産の把握を行っておくことも大切です。これにより、相続が発生した時にスムーズに手続きを進めることができます。相続について不安がある方は、早めに行政書士等専門家に相談し、適切な準備を進めることをお勧めします。
今日は、「相続の開始」についてご説明しました。さて次回は、「生死が判明しないとき」ついてご説明します。
初出2024/8/19
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