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著作権行政の目指す先……前著作権課長のセミナーに参加してきました。(令和7年8月7日 木曜日)

★8月7日の予定★

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2025年8月6日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷にて、一般財団法人著作権情報センター主催のセミナーが開催されました。毎年、この時期のセミナーは、文化庁の著作権課長が登壇し、最新の著作権行政について講演して頂けます。今年は7月に人事異動があったばかりということで、前任の籾井圭子さんの講演となりました。籾井さんはスポーツ庁へ異動になったということです。


どんな話があったのか、本欄で少しご紹介したいと思います。


▼「保護」と「活用」のバランス

まず今回の講演で印象に残ったのが、「保護」と「活用」のバランスについてです。著作権課は法改正を行う課であると。しかし法制度の整備は重要だが、運用は伴わないとだめ。籾井前課長は、海賊版対策で補正予算を獲得した例などをあげ、著作権の実質的な運用に拘って行政を運営してきた点などを述べておりました。なるほど、確かにそうです。


著作権制度の根本理念は、著作物を創作した人の権利を守ることと、それを社会が円滑に利用できることの調和にあります。このバランスこそが著作権制度の根幹です。近年はAIやデジタルネットワーク技術の進展により、そのバランスの取り方がますます高度で繊細な判断を求められるようになってきています。


一括りに運用といっても、実際は大変なんだろうな、と感じました。


▼「未管理著作物裁定制度」の実現に向けて

2023年の著作権法改正で創設され、2026年4月の施行を控える「未管理著作物裁定制度」。

これは、著作権者と連絡が取れず、利用の可否が不明な著作物について、一定の手続を経ることで補償金を支払って利用可能とする制度です。

この制度が実現すれば、古い書籍や地方の文化財、映像資料などの活用が大きく進むことになります。


文化庁では現在、裁定の手続きを担う「登録確認機関」や補償金を管理する「指定補償金管理機関」の整備、裁定補償金額のシミュレーションシステムの構築、「分野横断権利情報検索システム」の公開準備など、制度のインフラ整備を着実に進めているとのことでした。

行政が民間の実務と連携しながら、円滑な制度運用をめざす姿勢には好感が持てます。

しかし一方で、作家・クリエイター側からは、本制度に対し、「勝手に作品が利用されるようになってしまう」という根強い不安があるのも現実です。

こうした声に行政書士もしっかりと、制度の周知と実務対応に協力していく必要があると感じました。


▼AIと著作権について

現在、著作権制度の中で最も注目を集めているのが「生成AIと著作権」の問題です。籾井氏は、このテーマについてもかなりの時間を割いて説明されていました。


文化庁は2024年3月に「AIと著作権に関する考え方」を公表し、その後、チェックリストやガイダンス、関係者ネットワークの開催など、実務の現場で活用可能な支援策を次々と打ち出しています。

個人的に特に評価できるのは、制度改正に走るのではなく、まずは現行法の中で解釈を丁寧に整理し、クリエイターや事業者の懸念を緩和する情報提供を優先した点です。


生成AIの開発や利用が爆発的に広がる一方で、著作権者やクリエイターの権利をどのように守るのか。法制度の改正は今後の検討課題かもしれませんが、文化庁の「現場との対話を重視する姿勢」には学ぶところが多くありました。


▼レコード演奏・伝達権の導入をめぐって

近年、注目されるもう一つのテーマが「レコード演奏・伝達権」の国内導入です。

これは、商業施設等でBGMとして利用される音楽に対して、レコード製作者や実演家に使用料を支払う権利を認めるものです。世界的には142か国以上が導入済で、日本の制度は国際基準から遅れている状況です。

クリエイターへの公正な対価還元を実現するために、この制度の導入は極めて重要であり、私はその必要性を強く感じました。



今回の講演を通じて感じたのは、文化庁の著作権政策が、最新技術や国際動向を踏まえつつ、現場の実務と丁寧に向き合おうとしている姿勢です。

とりわけ、AIや未管理著作物など、従来の制度枠を超える課題に対しても、拙速に制度を変えるのではなく、段階的・現実的なアプローチを重視している点には共感を覚えました。

ただ一方で、私自身が業務上でいろいろな方々と接していると、文化庁のこのような活動は、広く世間には伝わっていないようにも感じます。制度の周知や、現場での対応力向上といった課題は我々実務者や関係団体の役割でもあります。


「保護と活用の調和」を旗印に、文化庁が今後も透明で開かれた著作権行政を進めていくことを期待しつつ、私自身も微力ながらその一助となれるよう取り組んでいきたいと思います。


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