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執筆者の写真那住行政書士事務所

【ワンポイント法務】相続6~相続手続きの全体像(24.08.08)


暮らしに役立つワンポイント法務。日々の生活、皆様の事業で役立つ話を更新していきます。


相続はある日突然やってきます。そしてどんな人にもやってきます。ここまでのお話で、誰が相続人となるのか、そして相続人の相続の割合は「原則」、民法で割合が決められているというお話をしてきました。

今日からは、実際に相続が発生した際、具体的にどのような手続きをとらなくてはならないのか、というお話です。今日はその全体像についてお話します。



多岐に渡る手続き


相続が発生すると、遺族は多くの手続きを行わなければなりません。そして相続は、そう頻繁にあることではなく、人によっては一生で一度きりということもあります。だからこそではありますが、相続手続きは複雑で何をすればいいのか分からないことが多いです。


本連載の第1回で、相続の全体像についてお話しました。


このページでは、手続の面から、全体像についてお話をしたいと思います。それぞれの具体的な手続については、追って、順次ご説明してまいります。


なお相続に際して行わなくてはならない手続きは、それぞれの相続によって異なります。ここにあげた手続、全てを行わなくてはならないというわけではありません。また一方、相続の状況によっては、ここに掲載していない手続を行わなくてはならない場合もあります。


わからないことがあれば、専門家(行政書士等)に相談することをお勧めします。


相続手続きチェックリスト


◆ご自宅で行う作業

・遺言書の有無の確認

・遺産分割協議

 →遺産分割協議書の作成


◆遺言書に関する手続

・遺言書の検認・開封(家庭裁判所・弁護士)

・遺言執行者の選任(家庭裁判所・弁護士)

・遺言内容の執行(遺言執行者)

・保管自筆証書遺言の交付、閲覧(法務局)

・公正証書遺言の検索(公証役場)


◆区役所、市役所等で行う作業

・死亡届の提出

・死体火(埋)葬許可申請書

・世帯主変更届

・児童扶養手当

・印鑑証明カードの返還

・マイナンバーカードの返還

・国民健康保健所の返還

・介護保険証の返還

・シルバーパスの返還

・相続人の調査

 →戸籍謄本等の収集

・固定資産税の名義変更

・未登記家屋の登録者名義変更


◆医療費・支援金等に関する作業

・未清算医療費の支払(医療機関)

・高額療養費の請求(国民健康保険・協会けんぽ・健保組合)

・高額介護費の請求(介護保険)

・遺族共済年金(各共済会)

・葬祭料(各共済会)

・葬祭費(国民健康保険)

・埋葬料・家族埋葬料・遺族厚生年金(協会けんぽ・健保組合・厚生年金・労災保健)


◆年金事務所で行う作業

・遺族基礎年金

・寡婦年金

・死亡一時金

・未支給年金


◆その他役所等で行う作業

・各種許認可の名義変更(各役所等)

・パスポートの返還(旅券事務所)

・身体障害者手帳・愛の手帳などの返還(福祉事務所)

・農地法に関する届出(農業委員会)

・森林法に関する届出(森林組合)


◆金融機関等に対し行う手続

・相続財産の調査(貯金、不動産等)

・口座の解約、名義変更(銀行等)

・貸金庫に関する手続(銀行等)

・農協への出資金(農協)

・信用金庫への出資金(信用金庫)

・クレジットカードに関する手続

 →未清算分の支払

 →引き落としカードの変更

 →解約

・諸引き落とし口座の変更(銀行等)

・生命保険付き住宅ローン(銀行等)

・株券等(証券会社)

・生命保険(保険会社)

・簡易保険(かんぽ生命)

・入院保険金(保険会社)

・火災保険の名義変更(保健会社)


◆負債に関する手続

・JICC、CIC、KSCへの開示請求

・銀行等からの借入金、カードローンの精算、名義変更等(銀行等)


◆生活に関する諸手続

・公共料金の名義変更(電気、ガス、水道)

・NHKの解約、名義変更(NHK)

・電話、携帯電話(電話会社)

・インターネット関連(プロバイダ―等)

・リース、レンタル品の解約、名義変更(各会社等)

・ゴルフ会員権、デパート会員証、デパート積み立て等(ゴルフ場、デパート等)

・各種会員サービスの解約(各種)


◆不動産に関する手続

・賃貸住宅の名義変更(不動産会社等)

・借地・借家の手続(不動産会社、家主等)

・公営住宅の手続(JKK等)

・相続登記、抵当権抹消登記(司法書士)

・未登記家屋の所有権保存登記(土地家屋調査士)


◆クルマに関する手続

・運転免許証の返納(警察署)

・自動車等の名義変更(陸運局・軽自動車協会)

・自動車納税義務者の変更(県税事務所・市税事務所)

・自動車保険の名義変更(自賠責、任意)(保健会社)

・JAFの退会、名義変更(JAF)


◆勤務先への手続

・死亡、葬儀の通知

・死亡退職届

・社員証等の返還

・健康保険証の返還

・団体弔慰金

・退職金、未受取給与の受け取り

・役員変更登記(司法書士)

・自社株式名義変更


◆税金関係の手続

・所得税の準確定申告(税務署・税理士)

・医療費控除の還付請求(税務署・税理士)

・個人事業の廃業届(税務署・税理士)

・相続税の申告(税務署・税理士)


◆特殊な権利に関する手続

・特許権の相続手続(特許庁)

・著作権の相続手続き(著作権等管理団体、出版社等)


◆裁判所関係

・相続放棄・限定承認申立

・分割協議の調停・審判

・遺留分侵害額請求

・子の氏変更許可申請書

・成年後見人等の選任

・特別代理人の選任

・失踪宣告


◆その他の手続

・墓地の名義変更(お寺、墓地管理者等)



迷ったら、行政書士にご相談ください


ざっと手続を並べてみました。相続手続きは多岐にわたり、初めての方にはとても大変な作業です。しかし、一つ一つ丁寧に進めていけば、確実に手続きを終えることができます。


重要なのは、焦らずに必要な情報を集め、適切に手続きを進めることです。相続は、人生の大きな節目の一つです。手続きをスムーズに進めることで、故人の遺志を尊重し、遺族が新たな一歩を踏み出せるよう、しっかりと進めていきましょう。


また、日頃から遺言書を作成し、相続財産の把握を行っておくことも大切です。これにより、相続が発生した時にスムーズに手続きを進めることができます。相続について不安がある方は、早めに行政書士等専門家に相談し、適切な準備を進めることをお勧めします。



今日は、「相続手続きの全体像」についてご説明しました。さて次回は、「相続の開始について」ついてご説明します。


★お盆休みの期間中、本連載の更新はお休みします。次回は8月19日の更新となります。


初出2024/8/7


※本記載は投稿日現在の法律・情報に基づいた記載となっております。また記載には誤り等がないよう細心の注意を払っておりますが、誤植、不正確な内容等により閲覧者等がトラブル、損失、損害を受けた場合でも、執筆者並びに当事務所は一切責任を負いません。


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