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【企業法務】”稼ぐ力”をどう後押しするか。会社法見直しを検討~法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会第1回会議(令和7年4月23日)


令和7年4月23日、法務省において法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会第1回会議が開催されました。

この部会は、企業を取り巻く経営環境の変化に対応し、日本企業の「稼ぐ力」の強化を後押しするため、会社法の見直しを検討する目的で設置されたものです。

背景には、令和6年の政府の規制改革実施計画や「新しい資本主義」実行計画において、従業員等への株式無償交付やスタートアップ支援のための現物出資規制緩和、株式対価を用いるM&A手続の活性化といった課題が明示されたことがあります。これを受け、法務大臣から法制審議会への諮問がなされました。


さらに、有識者による「会社法制研究会」が事前に開催されており、その報告書を踏まえた議論が本部会で進められる予定です。



初出:2025/04/26

追記:

【参考】法務省 法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会第1回会議(令和7年4月23日開催)

―議題と会議の進行概要

第1回会議では、部会設置の趣旨と今後の審議事項について確認が行われた後、事務局より会社法制見直しに関する論点が提示されました。会社法の株式制度や株主総会制度に関する幅広い論点について、初期的な意見交換が行われました。

会議では、事務局から各資料の説明がなされた後、委員間で自由討議形式による意見交換が行われたようです。


法務省のホームページにあげられている資料から、本会議では、以下の項目等について検討が行われるようです。


・株式の無償交付の対象範囲の見直し

現在、株式無償交付は上場会社の取締役や執行役に限って認められています。これを、従業員や子会社の取締役等にも拡大できるようにするかが検討課題となっています。優秀な人材の獲得・定着を促進するために有効と期待されますが、一方で、無償交付された株式が労働基準法上の「賃金」に該当する場合の法的整理や、既存株主の利益保護のあり方についても慎重な検討が求められます。


・株式交付制度(株式対価M&A)の見直し

株式交付制度を活用できる範囲を拡大し、M&Aの柔軟化を図ることが検討されています。たとえば、既存子会社の追加取得や、持分会社・外国会社を子会社化する場合などにも、株式交付制度を利用できるようにする案が提示されています。さらに、株式交付にかかる手続きの簡素化も議論の対象です。


・現物出資規制の見直し

現行の厳格な現物出資規制がスタートアップ企業の成長を阻害しているとの指摘を踏まえ、検査役調査の不要化や責任規定の緩和についても議論が求められています。


・キャッシュ・アウト制度の見直し

企業再編を円滑に進めるため、キャッシュ・アウト(少数株主の株式を金銭対価で取得する手続き)の柔軟化が検討されています。ただし、少数株主保護とのバランスをどのように図るかが大きな課題です。


・株主総会制度の見直し

バーチャルオンリー株主総会の実現可能性、書面決議制度の柔軟化、株主提案権の要件見直しなども議論対象とされています。



―今後の審議に向けた注目ポイント

今後の部会審議においては、特に次の点に注目する必要があります。

  • 実務への影響が大きい主要論点(株式無償交付、株式交付制度、キャッシュ・アウト手続、バーチャル株主総会等)の取りまとめ方向

  • 複数案が提示された論点についての一本化

  • 関連法令(労働法、税制、金融商品取引法、商業登記制度等)との調整

  • 法案提出スケジュールと、企業側での対応準備(定款変更、社内規程改訂、株主総会運営体制の整備等)


    本部会での議論は企業の資本政策、コーポレート・ガバナンス、M&A戦略に大きく影響を及ぼす可能性があります。引き続き、動向を注視し、必要に応じた事前準備を進めていくことが重要です。




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