【相続】相続土地国庫帰属制度について

◆「所有者不明土地」の解消に向けて、新制度が令和5年4月27日からスタート
所有者不明土地の解消に向けた法改正等を受け、新制度「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日から開始の予定です。
これは管理できない土地が放置され、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とするものです。
民法239条2項には「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」とありますが、相続で得た土地は相続人が所有者となるため、これまでは国庫帰属にはなりませんでした。相続財産のすべてを放棄することは、これまでもできましたが、「不動産だけを放棄したい」というような制度は存在してませんでした。
しかし今回、法整備が行われ、令和5年4月27日から新制度がスタートすることとなりました。
◆申請はどのようにするの? 申請に向けてのハードルは?
制度開始後は一定の要件を満たし、申請を行い、承認されれば、土地を手放すことが可能となりますが、具体的にはどのようになるのでしょうか。
すでに法務局では、令和5年2月22日から対面、もしくは電話での相談が「放棄したい」と思って申し出れば簡単に放棄ができるかといえば、決してそうではありません。
法務局による事前相談については以下のページをご確認ください。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00498.html
不動産を放棄するまでのステップとしては……
①申請承認 →②法務局による審査・承認 →③申請者が10年分の土地管理相当額の負担金を納付 →④国庫帰属
となっております。土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、 土地の所有権が国庫に帰属します。
しかし申請できる土地は限られており、現時点で法(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)により、以下の土地については、まず申請すらできないということになっています。(ただし今後、政令で更に詳細な要件を定めるとされています。)
(1) 申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)
A 建物がある土地
B 担保権や使用収益権が設定されている土地
C 他人の利用が予定されている土地
D 土壌汚染されている土地
E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
さらに申請ができても、以下の土地については承認をうけることができないとされています。
(2) 承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)
A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地