NEWS CLIP|気になった法務・政策ニュース|2026年8月31日 from那住行政書士事務所
- 那住行政書士事務所

- 4 時間前
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8月もいよいよ最終日。
今朝の横浜は曇り空で、外へ出るとここ数日の朝とは少し違う。暑さそのものが終わったわけではないのでしょうが、肌に触れる空気が少し軽く、ようやく「夏も店じまいを始めたのかな」と思わせる朝になりました。
振り返れば今年の夏も、ずいぶん長かったように感じます。梅雨が明ければ猛暑、猛暑が続けば豪雨、台風が来れば交通が乱れ、ニュースでは毎日のように「危険な暑さ」という言葉を聞いた。それでも季節というものは律義で、8月31日はきちんとやってきます。
暦の上で区切ったからといって、明日から突然秋になるわけではありません。ただ、人間にはこういう区切りが案外必要なのでしょう。
AI、コンテンツで気になるニュースを見つけたので少し取り上げます。コンテンツ産業は、いまや「文化」の一言では片付けられない巨大な輸出産業になりつつあります。外国人への支援は行政書士としてもとても大事です。
そんなニュースを今日もいくつか……
01|生成AIは自治体の「予算査定」まで入ってくるのか
02|アニメ3.8兆円――日本のコンテンツ産業は本当に「次の基幹産業」になれるか
03|「学校に行っているか分からない」外国人の子ども約9000人
04|建物の「持分」だけでは買取請求できない――最高裁が初判断
05|新卒者の内定取消し80人――前年から倍以上に
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01|AI/LOCAL GOVERNMENT|生成AIは自治体の「予算査定」まで入ってくるのか――品川区が始めた一歩
自治体における生成AI利用というと、これまでは議事録の要約、文案作成、問い合わせ回答、庁内文書の整理といった「職員の作業を少し楽にする道具」という使われ方が中心でした。
ところが、その次の段階へ進もうとしている自治体があります。ニュースをスクロールしていてみつけたのですが、東京都品川区では、生成AIを活用した「予算編成と行政評価」の実証実験を進めているそうです。株式会社WiseVineのPR記事ですが、実施期間は2026年2月から9月まで。過去の行政評価データをAIに分析させ、類似事業の抽出や比較などを行うことで、評価の客観性や透明性を高め、企画・財政部門の作業時間を減らそうという試みだそうです。
ここまで来ると、「役所もChatGPTを使っています」という話とはまったく意味が違ってきます。
予算編成とは、行政そのものです。限られた税金を、福祉にいくら、教育にいくら、防災にいくら、道路にいくら、文化にいくら配分するのか。その過程では、前年の実績を調べ、類似事業を比較し、効果を検証し、必要性を判断する。そこへAIが入ってくる。品川区の実証では、AIが最終判断をするという話ではありません。過去データを整理し、類似事業を探し、担当者の分析を支援するという位置づけです。WiseVine側も、前年度予算との増減比較や、事業担当者への質問コメント作成などをAIが支援するサービスを展開しています。
私は、この方向性自体にはかなり期待しています。
行政には、毎年ほとんど同じ説明を書き直している書類が山ほどあります。
「昨年度の実績」「今年度の課題」「来年度の方向性」。
担当者が異動すれば、前年のファイルを探し、過去の資料を読み、似たような事業が別の部署にないか調べる。こういう作業をAIが数秒で整理してくれるのであれば、人間はもっと「本当にこの事業は必要なのか」という議論に時間を使えます。
東京都杉並区でも今年、AIを利用した行政評価業務の実証が行われ、過去の評価結果や他自治体の行政評価文書を横断的に比較・分析することで、情報整理の効率化や評価のばらつきを抑えられる可能性が示されました。
東京都自身も、行政の専門用語や法令を理解でき、回答の根拠を確認できる「行政特化型国産AI」の構築・実証に取り組んでいます。行政は住民の権利義務に直接関わるため、一般的な生成AI以上に正確性、透明性、検証可能性が必要だという問題意識です。
この流れは、おそらく止まりません。ただし、ここで一つ気を付けたい。
「AIを使うと客観的になる」という言葉です。AIは神様ではありません。過去の行政評価を学習させれば、過去の行政の考え方を上手に再現するでしょう。しかし、過去に無駄と判断されたものが未来にも無駄とは限らないし、過去に高く評価された政策が今後も必要とは限らない。
AIが「過去5年間、この事業は毎年縮小されています」と教えてくれることと、「だから今年も削るべきです」という判断は別物です。行政評価には、数字だけでは測れない価値があります。利用者が少なくても必要な福祉サービスがあり、採算が悪くても残さなければならない公共施設があり、成果が出るまで十年かかる政策もある。AIの役割は、判断材料を増やすことです。判断そのものを手放すことではありません。
もう一つ、私は行政評価そのものにも少し意地悪な見方をしています。自治体の事業評価表を読むと、ときどき「本当にこの事業を廃止する気があるのだろうか」と思うことがあります。担当課が自分たちの事業を評価すれば、どうしても「一定の成果があった」「今後も継続が必要」という結論になりやすい。
そりゃそうです。自分で企画し、自分で実施し、自分で評価して、「実は必要ありませんでした」と書くのは、なかなか勇気がいる。そこでAIが過去データや他自治体の類似事業を淡々と並べ、「この事業、他市では3年前に廃止されていますけど」と言ってくれるのであれば、案外いい仕事をするかもしれません。
生成AIは、役所の文章を速く書くためだけの機械ではありません。行政の「なぜこれを続けるのか」を問い直す道具になれるか。品川区の実証で注目したいのは、そこだと思います。
参考:山陽新聞「品川区と生成AIを活用した予算編成と行政評価の実証実験を実施へ」品川区「生成AIを活用した予算編成と行政評価の実証実験を実施へ」しながわシティラボ「生成AIを活用した予算編成と行政評価の実証実験を開始」富士フイルムビジネスイノベーション「杉並区と行政評価業務の効率化に向けた実証実験」
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02|CONTENT/ECONOMY|アニメ3.8兆円――「クールジャパン」ではなく、そろそろ産業として本気で考えよう
野村證券のサイトに、なかなか興味深い分析記事が掲載されています。テーマは「日本のアニメの市場規模は?」。その数字を見ると、もはやアニメを「日本文化の一ジャンル」とだけ呼ぶことの方がおかしくなってきます。
日本動画協会の「アニメ産業レポート2025」を基にした野村證券の分析によれば、アニメ産業の広義の市場規模は2024年に3兆8407億円。前年の約3.3兆円から14.8%増え、過去最高となりました。特に伸びているのが海外です。2024年の海外市場は約2兆1700億円。国内市場約1兆6700億円を上回り、海外が全体の56%余りを占めるところまで来ています。
昔なら、「日本のアニメは海外でも人気があります」という文化ニュースでした。しかし今は重要な経済ニュースです。経済産業省の通商白書によれば、アニメだけでなくゲーム、漫画、音楽、映画などを含めた日本のコンテンツ産業の国内市場は2023年時点で13.3兆円。海外売上も2022年の4.7兆円から2023年には5.8兆円へと23%以上伸び、鉄鋼や半導体の輸出額を上回る規模になったとされています。政府は日本発コンテンツの海外売上を2033年までに20兆円へ拡大する目標を掲げています。
この数字を見ると、政府がコンテンツ産業を成長戦略の一つに位置付けること自体は当然でしょう。日本は石油が出るわけでもありません。人口は減る。国内市場も縮む。それでも、世界中の人が金を払って欲しがるものを日本が持っている。漫画、アニメ、ゲーム、音楽、キャラクター。これを「オタク文化ですね」と笑っていた時代の方が、どうかしていたのかもしれません。
ただし、売上が大きいから安心、とはならないところがこの業界の厄介なところです。野村證券の記事が非常に重要なのは、「海外売上」と「日本へ入ってくる収入」は同じではないと指摘している点です。同記事によれば、2022年のアニメの海外売上は1兆4592億円だった一方、海外から日本側へ入った収入額は856億円。比率にすると5.9%にとどまります。これに対してゲームは、海外売上2兆7780億円に対し海外収入額が2兆4655億円で、比率は88.8%とされています。要するに、世界では日本のアニメで巨大なお金が動いている。
しかし、そのお金が必ずしも日本の制作現場へ戻ってきていない。
ここが問題です。海外の配信プラットフォームへライセンスし、その先で世界的ヒットになったとしても、契約の仕組みによっては日本側の収益は限定されます。さらに国内の制作現場を見ると、別の数字が見えてきます。帝国データバンクの調査を基にした報道では、2025年の国内アニメ制作市場は4065億円余りと初めて4000億円を突破しました。しかしアニメーター不足や制作能力の限界から、2026年は5年ぶりに市場が縮小する可能性も指摘されています。世界市場は3兆円、4兆円と膨らんでいる。でも作っている現場では、人手が足りない。このアンバランスを放置したまま「2033年に20兆円です」と旗だけ立てても仕方がありません。
日本の産業政策には、ときどき悪い癖があります。何かが海外で評価されると、急に「国家戦略」にする。そして会議体を作り、立派な横文字の資料を作り、補助金を用意する。経済産業省は現在、「IP360」と名付けた支援策を進め、漫画からアニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズへとIPを多角展開することで収益を最大化する方針を掲げています。支援そのものは必要でしょう。しかし、本当に必要なのは作品を「作らせる補助金」だけではありません。作った人に利益が戻る契約。海外へ直接届けられる流通。クリエイターが生活できる報酬。知的財産を守る仕組み。そして、成功したIPを日本企業自身が長期的に育てていく経営力です。
日本には作品を作る才能があります。問題は、そこで生まれた価値を回収する才能が少し弱いことです。コンテンツ産業を「自動車に次ぐ産業」にしたいのであれば、アニメーターの善意と情熱を燃料にして走るような仕組みでは続きません。私はこの産業には、かなり期待しています。漫画やアニメが世界で売れることの面白さは、それ単体で終わらないところにもあります。作品を見た人が日本へ来る。舞台になった町を訪れる。グッズを買う。日本語を勉強する。日本の食文化に興味を持つ。
一つのIPから、観光、飲食、製造、出版、ゲーム、音楽へと経済が広がっていく。工場から船で輸出しなくても、知的財産は世界へ輸出できます。人口減少の日本にとって、これほど相性のよい産業はそう多くありません。「クールジャパン」という少し恥ずかしい掛け声で終わらせず、きちんと稼げる産業にする。そろそろ本気でそこを考える時期でしょう。
参考:野村證券「日本のアニメの市場規模は? 高市政権が期待するコンテンツ産業の伸びしろ」経済産業省「通商白書2025年版 製造業とコンテンツ産業のグローバル戦略」経済産業省「コンテンツ産業支援メニュー」経済産業省「コンテンツ産業」
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03|EDUCATION/SOCIETY|「学校に行っているか分からない」子どもが約9000人――外国人政策の前に見るべき数字
8月28日、文部科学省が「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を改訂しました。
その冒頭には、かなり重い数字が記されています。令和7年度の調査で、約9000人の外国人の子どもについて「不就学の可能性がある」ことが明らかになったというのです。外国人の子どもは、日本国籍の子どもと同じ形で学校教育法上の就学義務が保護者に課されているわけではありません。しかし国際人権規約や児童の権利条約を踏まえ、日本に住む子どもに教育の機会を確保することは当然に重要です。
この問題は、「外国人を受け入れるか、受け入れないか」という政治的な議論とは切り分けて考える必要があります。すでに日本に住んでいる子どもがいる。その子が学校へ行っているのか分からない。まず、それが問題です。しかも横浜に住む者として見逃せない数字があります。令和7年度調査では、横浜市内で外国人の就学対象年齢の子どものうち、義務教育諸学校へ6305人、外国人学校へ1082人が通う一方、28人が「不就学」、695人については「就学状況を把握できず」とされています。695人。私は、この数字はかなり重いと思います。
外国人政策というと、つい在留資格や治安、労働力、社会保障といった大きな議論になりがちです。しかし、その横で子どもが学校からこぼれているのであれば、「共生社会」という看板はずいぶん薄っぺらい。
だからこそ自治体が住民基本台帳、教育委員会、学校、出入国在留管理当局などの情報をつなぎ、所在と就学状況を把握する必要があります。今回の改訂指針も、その体制強化を自治体へ求めています。外国人労働者を「人手不足を埋める人数」としてだけ見ると、こういう問題を見落とします。人が来れば、その人には家族がいます。その家族まで含めどうするかを考えていかなくてはなりません。
労働力だけ輸入して、生活は各自で何とかしてくださいという制度は、長続きしません。
そして教育からこぼれた子どもの問題は、十年後、二十年後にもっと大きな社会問題となって返ってきます。9000人という数字を、「外国人だから仕方ない」で片付けてはいけないと思います。
参考:文部科学省「外国人児童生徒等の就学の促進について」文部科学省「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針(令和8年8月28日改訂版)」文部科学省「令和7年度 外国人の子供の就学状況等調査結果」
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04|LAW/SUPREME COURT|建物の「持分」だけでは買取請求できない――最高裁が示した借地借家法14条の射程
最高裁第二小法廷は8月28日、借地借家法14条に定める「建物買取請求権」について、土地上の建物そのものではなく、その「共有持分」を取得した者が買取請求できるかが争われた事件で、請求を認めず上告を棄却しました。
建物買取請求権は、借地権者から建物を譲り受けた第三者が、地主から借地権譲渡の承諾を得られない場合などに、地主へ建物の買い取りを求められる制度です。
今回問題となったのは、建物全体ではなく4分の3の持分を取得したケースでした。最高裁は、こうした建物の「持分」について同条の買取請求権を認めませんでした。
一見するとかなり細かな法律論です。しかし不動産実務では、「土地」「建物」「借地権」「共有持分」が重なると、途端に話が複雑になります。
相続で共有になった建物の持分を買う。書類上は簡単です。でも不動産というものは、持分4分の3だけ切り取ってトラックで運べるわけではありません。「持分を買ったから、あとは何とかなるだろう」。不動産では、この「何とかなるだろう」が一番怖いのです
。
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05|EMPLOYMENT|内定取消し80人――会社には「事情」があっても、新卒者には人生がある
8月28日、厚生労働省が2026年3月卒業者の採用内定取消し状況を公表しました。内定を取り消された新卒者は29事業所で80人。前年は21事業所34人でしたから、人数では倍以上に増えています。
企業側には企業側の事情があるでしょう。しかし採用される側から見れば、新卒採用は一生に一度の特別な機会です。学生は一社から内定を得れば、ほかの採用活動をやめることがあります。そして3月になって内定を取り消されれば、「では来週から別の会社を探します」と簡単に切り替えられるものではありません。
会社にとって80人は人件費です。本人にとっては人生です。この違いは、かなり大きい。
内定取消しには法的にも厳しい制約がありますが、その以前に、人を採用するということの重さを企業には考えてほしいと思います。「採用計画を見直しました」の一行で、人間の予定表まで消せるわけではありません。
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8月31日。この日付には、どうも独特の圧があります。大人になれば夏休みの宿題からは解放されるはずだったのですが、実際に大人になってみると、月末締め、請求書、原稿、返信していないメール、机の上に置いたままの書類と、宿題は名前を変えただけで普通に残っていました。むしろ先生が「明日までですよ」と教えてくれない分、大人の方がたちが悪い。
ただ、今年の8月を振り返ってみると、ずいぶんいろいろなことがありました。暑かった。
本当に暑かった。ニュースを見れば政治も社会も落ち着かず、仕事をしていても次から次へと何かが起きる。それでも朝になれば一日が始まり、夜になれば一日が終わる。その繰り返しで、気がつけば8月31日です。
今朝は曇っています。外へ出ると、少し涼しい。
たったそれだけのことなのですが、今年の夏をずっと付き合ってきた身としては、「まあ、そろそろこの辺で勘弁してやるか」という気分にもなります。もっとも、天気予報を見る限り、夏の方にはまだ終わるつもりがないようですが。
明日から9月。季節が変わるというより、カレンダーを一枚めくるだけです。それでも、その一枚をめくるという行為が案外好きです。8月にできなかったことは、9月にやればいい。そうやって人間は毎月、自分に小さな猶予を与えながら生きているのかもしれません。
では、8月もお疲れさまでした。9月も、ぼちぼちやっていきましょう。
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