NEWS CLIP|気になった法務・政策ニュース|2026年8月22日 from那住行政書士事務所
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- 1 日前
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8月は戦争について考えることが多い月です。今も中東、そしてウクライナでは争いが続いています。そんななかですが、今日8月22日は少し意味のある日です。1864年のこの日、戦場の傷病兵を敵味方の区別なく保護することを定めた最初のジュネーブ条約が調印されました。近代的な国際人道法の出発点の一つとされる出来事です。
法律というものは、華々しい理念を掲げるだけなら案外簡単です。難しいのは、それを現実の人間関係や社会の中で機能させることです。戦争をしていても守らなければならないルールがあるのなら、離婚した父母にも、政治家にも、復興事業にも、それぞれ守るべき筋道があります。
今日は、離婚後の共同養育、新しく結成された政治団体「ゴリラ」、そして復興が大きく動き始めている福島県浪江町の話題などをお伝えします。
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01|PERSONAL LEGAL/FAMILY|「共同親権」だけを語っていても足りない――改正民法施行後の共同養育を考える
先日、大和市議会議員の中村一夫先生にお声掛けいただき、「別居・離婚後の親子関係を考える地方議員の会」の会合に参加しました。その際に感じたことを、別の記事としてまとめています。
今回の民法改正は2026年4月1日に施行されました。離婚後について、父母双方を親権者とする共同親権を選択できるようになったことが大きく報じられていますが、実際の改正内容はそれだけではありません。親の責務、養育費、親子交流など、離婚後の子どもの養育全体についてルールが見直されています。法務省も、制度の目的を一貫して「子の利益の確保」と説明しています。
別居後、子どもはどこで生活するのか。学校や医療の重要な判断を誰が行うのか。離れて暮らす親とどのように交流するのか。養育費をどう確保するのか。そして、DVや虐待など安全への懸念がある場合にはどうするのか。
結局、必要なのは「共同養育」をどう現実のものにするのかという点だと思います。制度を現場へ落とし込む作業は、施行された今も続いています。
何より忘れてはいけないのは、この制度は親同士の勝ち負けを決めるためのものではないということです。離婚した父と母が「自分の権利」を叫び合い、その真ん中で子どもが置いてきぼりになるのでは本末転倒です。共同親権を勝ち取った、単独親権を守った、という話ではなく、その結果として子どもが安心して成長できる環境になったのか。そこが評価基準でなければならないでしょう。
会合では、法律だけでは見えてこない実際の親子関係や地方自治体の支援のあり方など、多くの示唆をいただきました。
02|SOCIAL SITUATION/POLITICS|政治団体「ゴリラ」誕生――名前のインパクトの次に、何があるのか
8月19日、新しい政治団体の設立が記者会見で発表されました。正式名称は「護憲リベラル共生」。略称は、その頭文字を取って「ゴリラ」だそうです。
発起人は、2月の衆院選で中道改革連合から落選した川内博史氏、阿部知子氏、平岡秀夫元法相ら。現職・元職を含め20人前後が関わると報じられています。憲法9条の堅持やジェンダー平等などを掲げ、川内氏は記者会見で、毎晩憲法前文を読んで寝るという趣旨の発言までしています。
現時点では「政党」ではなく政治団体です。賛同者と言われる人の中には既存政党に所属する現職議員も含まれており、直ちに中道改革連合や立憲民主党と完全に袂を分かった、新党を結成した、という話ではありません。
では、何を目指すのか。ここが、今のところ少々分かりにくい。憲法を守る。リベラルな価値観を守る。そういう政治勢力が存在すること自体は何の問題もありません。思想信条の自由がある以上、保守勢力が集まるのと同じように、リベラル勢力が集まるのも当然です。
しかし理念だけを確認し合う政治家の同窓会であっては、せっかくの集団も何も意味が無いのではないでしょうか。
現実の世の動きをどう捉えるか。物価をどうするのか。社会保障をどう維持するのか。安全保障をどう考えるのか。人口減少と地方の衰退にどう向き合うのか。企業や働く人に何を求めるのか。「護憲です」「リベラルです」だけで国民生活の問題に答えられるほど、現在の政治は簡単ではないでしょう。
気になるのは中道改革連合との関係です。中道から選挙に出て落選し、その数か月後に別の政治団体を立ち上げる。もちろん選挙後に考えが変わることはあります。しかし、有権者から見れば「では、あの選挙で掲げていた中道とは何だったのか」という疑問は当然出てきます。
さらに現職の参加者が既存政党に在籍したまま活動するのであれば、政治団体として政策研究をするのか、将来的な新党の母体なのか、既存政党内のリベラル派ネットワークなのか、その位置付けをはっきりさせた方がよいと思います。
略称の「ゴリラ」は確かに覚えやすい。ただ、選挙は大喜利ではありません。名前でSNSの話題を取った後、何を実現するのか。そこから先が政治団体としての本番でしょう。
03|NAMIE/REVITALIZATION|浪江駅前に116室のホテル――「泊まれる町」になることの意味
ニュースで「浪江町」の名前を見つけました。何度も通った浪江町。
仙台市の福田商会が、JR浪江駅西口に地上8階、116室のホテルを建設し、2028年度の開業を目指すことが発表されました。会議室やレストランも備え、開業初年度には約30人を雇用する計画です。背景には、浪江町に本施設が整備される福島国際研究教育機構、F-REIへの国内外からの研究者・関係者の来訪があります。
浪江町では原発事故による全町避難を経験し、現在も復興の途上にあります。その町に116室のホテルができる。浪江町にとっては、かなり活気を与える出来事になるかと思います。
単なる「新しいホテルが一軒できます」というニュースではないのです。
東日本大震災による津波の被害、そして原発事故で一度は人口は0になってしまった町。復興への歩みは今もまだ続いています。
町に人が来るためには、当然ですが泊まる場所が必要です。出張で研究施設へ来る人もいれば、復興事業に関わる人、企業関係者、そして観光で訪れる人もいます。町は人が集まってこそにぎわいが生まれます。これだけ大規模なホテルができることで、町にさらに多くの人が集まってくるようになるのではないでしょうか。地域経済にとって大きな意味があるわけです。
今年4月、解散してしまいましたが、アイドルグループ「浪江女子発組合」通じて、この町を何度も訪れました。入口は何でもよいと思うのです。音楽でも、鉄道でも、焼きそばでも、仕事でもいい。その人が「浪江へ行ってみよう」と思う理由が一つ増えることが、復興につながっていく。
こうした一つ一つの動きが、浪江町の新たな成長に、復興に、つながってくれればなと思います。
04|NAMIE/CITY PLANNING|隈研吾氏が手掛ける浪江駅前――復興は「造る」より「維持する」方が難しい
浪江では、もう一つ大きなプロジェクトが進んでいます。
JR浪江駅周辺約11.6ヘクタールを整備する事業で、商業施設、公営住宅、交流施設などを整え、帰還者や移住者が暮らせる町の中心を再構築しようというものです。6月には起工式が行われ、2030年度中の整備完了が見込まれています。総工費は約335億円と報じられています。
設計には建築家の隈研吾氏が携わっています。
計画では駅から商業施設まで、木材を用いた大屋根「なみえルーフ」でつなぎ、その周辺に芝生広場や住宅、商業機能などを配置します。浪江駅前を単なる交通結節点ではなく、町の顔として再生しようという構想です。
日経新聞の記事で特に興味深かったのが、隈氏が「補修費を抑える設計」に言及している点です。これは、とても大事だと思います。
建築家の仕事というと、完成直後の美しい写真が注目されがちです。しかし自治体の建物は、雑誌に載るために存在するわけではありません。雨が降ります。雪も降ります。木材は傷みます。設備は故障します。そして役所には、永遠に潤沢な維持管理費があるわけではありません。どれだけ「映える」建築でも、10年後に補修費で自治体の首が締まるのであれば困ります。
全国には、華々しく建てた公共施設が数十年後に維持できなくなり、「そもそも誰がこんなものを造ったのか」という話になっている例がいくらでもあります。建てたときの政治家はもういない。設計者もいない。請求書だけが住民に残る。公共事業ではありがちな光景です。
だからこそ、浪江のようにこれから町を再構築する場所では、「いくらで建てるか」と同じくらい「いくらで維持できるか」が重要です。
浪江駅周辺整備は、町が策定したグランドデザインに基づき、商業、住宅、交流、緑空間などを一体で整備する大きな事業です。今年度から建築工事が本格化しています。私は、この場所が「有名建築家が造った駅前」ではなく、「浪江の人が普通に使い続ける駅前」になってほしいと思っています。復興に必要なのは記念碑ではなく、日常です。
スーパーで買い物をする。子どもが広場で遊ぶ。駅から家へ帰る。ホテルに泊まった人が夕食を食べに町へ出る。そんな当たり前の風景が戻ったとき、初めて駅前整備の価値が分かるのだと思います。
05|CRIME/LIFE|半年で1816億円――特殊詐欺がもはや「特殊」ではなくなっている
警察庁が公表した2026年上半期の特殊詐欺被害が、かなりひどい数字になっています。
認知件数は2万2031件、被害額は1816億2000万円。前年同期と比べて件数は18.3%増、被害額は51.7%増です。単純計算すると、1日あたり約10億円が詐欺によって奪われています。
「特殊詐欺」という名前も、そろそろ考え直した方がよいのではないでしょうか。ここまで日常的に起きているなら、もう全然「特殊」ではありません。
特に被害額が大きいのがSNS型投資詐欺で、上半期だけで797億9000万円。次いでニセ警察詐欺が507億9000万円です。SNS型投資詐欺は20代から50代の被害も多く、「だまされるのは高齢者」という昔ながらのイメージでは全く足りません。
SNSを開けば、「この銘柄が上がります」「著名人が教える投資法」「今だけ参加できます」といった広告が普通に表示されます。広告の体裁で出てくると、人はどこかで「審査を通った情報なのだろう」と思ってしまいます。しかし、金を払えば広告を出せる仕組みの中で、「広告として表示されたこと」は信頼性の証明にはなりません。これだけ被害が出ている以上、利用者に「気を付けましょう」と呼びかけるだけでは限界があるでしょう。
SNS事業者、広告会社、金融機関、通信事業者、それぞれが詐欺を止めるために何をするのか。被害者に「あなたが欲を出したから」と説教するのは簡単ですが、犯罪者はその人の欲だけではなく、不安、孤独、権威への信頼まで巧みに利用します。
「自分だけは絶対だまされない」と思っている人ほど、一度この数字を見ておいた方がよいと思います。
1816億円。
だます側も、もはや立派な一大産業です。感心している場合ではありませんが。
06|YOKOHAMA/HISTORY|戦後81年、横浜に今も残る米軍基地――返還された土地をどう使うのか
最後は横浜の話題です。
横浜市では現在、「横浜市と米軍基地」と題したパネル展を市内で順次開催しています。
終戦直後、横浜市内には多くの土地が米軍に接収されました。市によれば、市内米軍施設はかつて最大で約1200ヘクタールに及びましたが、今年6月に根岸住宅地区が返還され、現在は約107ヘクタールまで縮小しています。
数字だけ見れば、大幅に減っています。しかし「返還された。めでたし、めでたし」で終わる話でもありません。
基地がなくなれば、その巨大な土地をどう使うのかという、次の問題が始まります。旧上瀬谷通信施設では、来年GREEN×EXPO 2027が開催されます。根岸住宅地区についても、今後の跡地利用が横浜のまちづくりに大きく関わってきます。米軍基地の問題というと、とかく賛成・反対、日米安保をどう考えるかという大きな政治論に直結しがちです。
もちろんそれも重要です。ただ、横浜市民にとっては、もっと具体的な問題でもあります。
何十年も自由に使えなかった土地が返ってくる。その土地を道路にするのか、住宅にするのか、公園にするのか、商業施設にするのか。その費用を誰が負担し、どの地域が利益を受けるのか。基地返還は外交問題であると同時に、都市計画の問題です。
そして行政は、ときどき「返還実現」という見出しまでがゴールになりがちですが、本当はそこがスタートでしょう。
せっかく戻ってきた土地に、20年後「なぜこんなものを造ったんだ」と言われる施設を建ててしまっては、長年返還を求めてきた意味がありません。
戦後81年。
基地が存在した歴史を知ることと、その跡地にどんな横浜をつくるのかを考えること。その二つをセットで考える必要があると思います。
今回のNEWS CLIPから
今日は、共同養育から政治団体「ゴリラ」、浪江の復興、特殊詐欺、そして横浜の基地跡地まで、かなり振れ幅のある6本になりました。
ただ、共通していることもあります。制度や建物、団体を「作った」だけでは何も終わらないということです。
共同親権は施行してからが本番。政治団体は名前を付けてからが本番。復興施設は完成してからが本番です。
ニュースは「できた瞬間」を報じますが、大切なのはその後どう機能するか。
そこは少し意地悪なくらいに、これからも見ていきたいと思います。
那住行政書士事務所
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