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NEWS CLIP|気になった法務・政策ニュース|2026年8月16日


お盆休みも今日までという人が多いのでしょうか? お盆は家族が集まる機会も多い時期です。だからこそ、普段はなかなか話題にしづらい「家族の法務」について、少し立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。

「法務通信 NEWS CLIP」。今回は、少し「個人向け民事法務」に軸足を置いてみました。

遺言制度の大きな改正、成年後見制度の見直し、相続税手続のデジタル化。そして後半では、横浜市内の中小企業支援、青葉区の文化活動を取り上げます。

相続や遺言は、毎日のように大きなニュースが出る分野ではありません。しかし、一度制度が変われば、私たちの生活や実務には長く影響します。

だからこそ、法務通信でも継続して追いかけていきたいテーマです。


那住行政書士事務所HP https://www.nazumi-office.com/


01|PERSONAL/WILL|遺言が「紙だけ」ではなくなる――電子データで作る新しい遺言制度へ


遺言制度に、大きな変化が予定されています。

2026年6月17日に成立し、6月24日に公布された民法等の改正法では、遺言制度の見直しとして、新たに「保管証書遺言」が創設されます。

法務省によると、この制度では、電子データ等で遺言を作成し、法務局で保管する仕組みが導入される予定です。あわせて、遺言制度については押印を任意とする見直しも行われます。電子データによる保管証書遺言については、システム改修が必要となるため、公布から3年を超えない範囲内で政令により施行日が定められます。

これは非常に大きな変化です。

これまで遺言といえば、自筆証書遺言、公正証書遺言、という「紙の書面」を前提とした制度が中心でした。もちろん、自筆証書遺言書保管制度によって、法務局で遺言書を保管することはすでに可能です。しかし、それでも遺言そのものは紙で作成します。

今回の改正では、その前提が変わります。社会のさまざまな場面でデジタル化が進む中、遺言についても電子データを利用できる時代が近づいてきたわけです。

なお、今年1月1日施行の行政書士法の改正により、行政書士の職責として「その業務を行うに当つては、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならない。」と明記されました。遺言書の“デジタル化”においても、行政書士としてしっかりと寄与していかなくてはなりません。

ただし、「電子化されたから遺言作成が簡単になる」とだけ考えるのは少し危険だと思います。

遺言で本当に難しいのは、書面を作ることそのものではありません。遺言書の中身をしっかりとした内容とし、また法的な諸問題もしっかりと整理することです。電子化によって「書き方」は変わっても、「何を書くべきか」という問題は変わりません。

むしろ遺言を作成しやすくなるほど、内容を十分に検討しないまま遺言を作るケースも増える可能性があります。遺言のデジタル化は、単なる手続の変更ではありません。遺言をもっと身近な制度にするきっかけになるのか。

この問題については、後日当サイトで改めてしっかりととりあげます。そして施行に向けた具体的な制度設計について、今後も追いかけたいと思います。


02|PERSONAL/ADULT GUARDIANSHIP|成年後見制度も大改正へ――「必要な範囲だけ支援する」制度に


同じ民法等改正法では、成年後見制度についても大きな見直しが行われます。

現在の成年後見制度には、後見、保佐、補助という三つの類型があります。今回の改正では、後見と保佐の制度を廃止し、補助の制度へ一元化する方向が示されました。本人にとって必要な範囲で制度を利用できるようにすることが狙いです。

これは成年後見制度の考え方そのものを大きく変える改正だと思います。

従来の成年後見制度については、「一度後見が始まると原則として本人が亡くなるまで続く」「本人の能力を広く制限しすぎるのではないか」「必要な場面だけ支援することが難しい」といった課題が指摘されてきました。

例えば、不動産を売却する必要がある、相続手続を進めなければならない、施設との契約をする必要がある、こうした特定の場面についてだけ支援が必要な人もいます。

それにもかかわらず、本人の生活全体について広い権限を持つ後見人を選任する必要があるのか。今回の改正は、こうした問題に対応しようとするものです。本人ができることは本人が行う。支援が必要な部分だけを第三者が補う。

これは、障害者権利条約などが重視する「本人の意思決定を尊重する」という考え方ともつながっています。一方で制度が柔軟になれば、実務では、「この人にはどの範囲の支援が必要なのか」をより細かく判断する必要があります。

遺言と成年後見は別々の制度ですが、終活を考える際には密接に関係します。今回の制度改正をきっかけに、そうした「終活法務」全体をあらためて考えてみても良いかもしれません。


03|PERSONAL/INHERITANCE|相続税も「税務署へ行かない」時代へ――e-Tax利用が3年間で3.7倍


相続手続のデジタル化も少しずつ進んでいます。

国税庁では、相続税申告に関するe-Taxの利用案内を公表しており、オンラインでの申告を利用するケースも増えてきています。

相続の手続は、戸籍の収集や財産の確認、遺産分割協議、不動産の名義変更など、幅広い作業が必要になります。これまではそれぞれの窓口で書類を提出するのが一般的でしたが、近年はオンライン化の流れが進んでいます。

ただし、相続で本当に重要なのは手続そのものよりも、「誰が相続人になるのか」「どの財産が対象になるのか」「どのように分けるのか」といった判断の部分です。

デジタル化によって手続は便利になりますが、相続の本質的な難しさがなくなるわけではありません。むしろ、全体を整理しながら進める専門家の役割は、今後ますます重要になっていくといえます。


04|BUSINESS/YOKOHAMA|熊本地震を受け、横浜市が中小企業向け「特別経営相談窓口」を設置


横浜市は8月7日、令和8年熊本地震の発生を受け、市内中小企業を対象とした「特別経営相談窓口」を設置しました。横浜市経済局金融課、IDEC横浜、横浜市信用保証協会で、資金繰りや経営に関する相談を受け付けています。

一見すると「熊本の地震なのに、なぜ横浜市が相談窓口を?」と思うかもしれません。

しかし企業活動は地域内で完結しません。取引先や仕入先の被災、物流停止、入金遅延などの影響は、遠方の企業にも及びます。特に中小企業では、一社の停止が資金繰りに直結することもあります。

災害対策というと、避難所や救援物資などに目が向きます。しかし、企業の経営を維持することも地域社会の復旧には欠かせません。会社が倒産すれば、雇用も失われます。だからこそ、災害発生後の中小企業支援も行政の重要な役割です。

事業者側から見ると、「困ってから融資先を探す」のではなく、日頃から資金繰りや取引先のリスクを確認しておく必要があります。

そこで重要になってくるのがBCP(事業継続計画)です。BCPとは、災害や感染症、システム障害などの緊急事態が発生した際に、企業の重要な業務をできる限り中断させず、または中断しても早期に復旧させるための方針や手順をあらかじめ定めておく計画のことをいいます。平時から策定・見直しを行い、実効性のある体制を整えておくことが重要であり、その構築や運用については、行政書士へ相談することも有効な手段の一つです。

企業法務と災害対策は、実はかなり近い分野なのだと思います。


05|ICHIGAO/AOBA|今年も青葉区に音楽が集まる――「青葉区民音楽祭2026」


最後は、事務所のある横浜市青葉区から。

青葉区では7月22日、「青葉区民音楽祭2026」の案内チラシが公開されました。青葉区民音楽祭は、地域の音楽団体が参加する文化イベントです。

青葉区には合唱、吹奏楽、器楽、美術、地域のお祭りなど、市民による文化活動が多くあります。

こうした活動を行政も支援しています。9月から11月にかけて様々なイベントが行われます。地域の文化活動、楽しみですね。

今回のNEWS CLIPから――「人生の後半」を支える法務も、もっと取り上げたい


今回のNEWS CLIPでは、前半3本を遺言・成年後見・相続にしました。

これまで法務通信では、AI、著作権、行政制度、企業法務などを中心に扱ってきましたが、行政書士業務には遺言・相続・成年後見・終活といった「人生の後半」に関わる分野もあります。

この分野は、事前の準備が何より重要です。亡くなってからでは遺言は作れず、判断能力を失ってからでは後見契約も難しくなります。

だからこそ、早めに考え、話し合い、準備しておくことに意味があります。

現在は遺言の電子化や成年後見制度の見直し、相続手続のデジタル化など、制度自体も大きく変わりつつあります。

今後はAIや企業法務に加え、こうした分野も継続的に取り上げていきたいと思います。

法律は企業だけでなく、私たち一人ひとりの人生設計にも関わるものです。


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