top of page

二日連続、新宿末広亭へ。伯山と遊雀、それぞれの『牡丹灯籠・お札はがし』

令和8年7月9日、10日。二日連続で新宿・末広亭に行ってきました。今席・夜の部10日間は、落語家・三遊亭遊雀と講談師・神田伯山、交互による「怪談」興行。ただ普通の「怪談」とはちょっと違う。お化け屋敷・お化け屋敷プロデューサー・五味弘文先生による「演出」が加わるということで、興行前からかなり話題になっていました。


チケットもあっという間に完売……だったのですが、何とか、スマホ、パソコン、いろいろ駆使して、2日間のチケットをゲット! 足を運ぶことができました。


今回の企画は、伯山先生と五味先生が、今年はじめ対談で知り合ったことから、生まれた企画ということですが、これまで、伝統芸能の世界に様々な新風を吹き込んできた伯山。本当にどこまで貪欲なんだろう! と。寄席の夏の風物詩と言ってもいい、「怪談」の世界に、間違いなく新風を吹き込む、斬新で、それでいて完成されつくした10日間を作り上げてくれました。

忘れちゃいけないのは、ここに遊雀師匠がいたということ。本来であれば、遊雀師匠の”デビュー”は別の団体だったので、ここには、落語芸術協会の興行にはいなかったわけで。紆余曲折があって、奇跡的に、令和の寄席で、遊雀師匠、伯山先生の競演が実現する環境が産まれたからこそ、この奇跡的な興行が誕生したのでは無いか、と思います。



ー奇跡的な偶然が重なって産まれた贅沢な時間


こうした挑戦的な取組は、やりたいと思ってもできるものではありません。


まわりを納得させる伯山先生の実力

お化け屋敷プロデューサーとの出会いという奇跡

伯山・遊雀が寄席で競演できるという環境の奇跡


いろいろなことが重なります。そしてこうやって奇跡が重なると、それはさらなる奇跡も呼ぶわけで。


9日・伯山による牡丹灯籠。

高座にはセットが組まれ、いつもの末広亭とは違う雰囲気になっています。客電がおとされ、高座のみが明るく、それだけでいつもの寄席ではない、神妙な雰囲気が会場に。

マクラをふらず、いきなりネタに入る伯山。より緊張感が会場を包みます。

様々に変わる照明。下座からの三味線、太鼓。どこからか漂う香の香り……

伯山の口跡でステージに引き込まれるだけでなく、様々な感覚が、同時に刺激されてきます。

話はじょじょに怖く……怪談だから当然「怖い」要素はあるわけです。でも伯山が語るそのお話は、「怖い」だけでなく、「哀しさ」さらには「美しさ」もしっかりと魅せてくれます。半面、「人の欲深さ」も怖いくらいに。


末広亭の客席両側にうかぶ、二人の女性の影。からん、ころん、かろん、ころん。歩みをすすめます。すると突然、末広亭全体が揺れているかのような、ガタガタと音を立てる木戸。視覚、聴覚をどんどん刺激してくる!


伯山の語りがいよいよクライマックスに近づくところに、客席に姿を表す二人の女性、絶世の美女・お露と、侍女・お米の霊が!

この怪談が「美しい」と感じた一つの要素は、このお露がとても美しいこと!!


お札をはがさないと、お露と、お米は、新三郎の家に入れません。そのお札をはがすのは……黒子がお客さんに声をかけ、高座の端に貼ってあるお札を、お客さんがはがすという演出! これがこの日は、とてもスムーズに、きれいに、お客さんが「伴蔵」になってお札を剥がして……


高座で語る伯山も、話に合わせ様々な所作を、最後はお露が伯山、いや、萩原新三郎に襲いかかり……


……と、本当に素晴らしい、素晴らしい一席でした。


そして一席終わったあと、種明かしと奇跡が!


まず途中に現れた、お露は、なっと、伯山の姉妹弟子、神田鯉花さん! いや本当に美しかった! お芝居ははじめてだそうですが、いやいやめちゃくちゃうまい、すごい!

そしてお米は、遊進師匠のお弟子さん、三遊亭遊かりさん! いつもはとてもとても明るいい落語を披露してくれる遊かりさんが、こんなにも雰囲気を出してくれるとは!

鯉花さん、遊かりさんのお衣装は歌舞伎座から借りたもので、ちゃんと床山さんも10日間ついてくれたそうで。小道具・牡丹灯籠も、歌舞伎座から借りたものだとか! すごい!!


そして奇跡が。この日、伴蔵としてお札をはがしたお客さん、なんとたまたま、お客さんとして来場していた、歌舞伎の中村玉太郎さんだったと判明! そりゃ、剥がす所作もきれいなわけよね。

さらにさらにミラクルは続き、玉太郎さんのお隣には、尾上右近さんが!

遊雀さんが声をかけて、右近さん、玉太郎さんも高座へ! すかさず会場からとぶ「音羽屋!」の声!!


なんと8月には、歌舞伎座で「牡丹灯籠」が上演されるということで、伝統芸能の連鎖、すばらしいな、と。


こうした奇跡は、一歩踏み出したからこそ産まれるわけで。伯山の挑戦に、本当に感謝!



そして7月10日。千秋楽。

この日は遊雀師匠の「お札はがし」。

基本の演出は前日とはかわらないけど、遊雀師匠が話すその物語は、やはり伯山のそれとは違うわけで。どっちが良いとか、悪いとかじゃないんです。どっちも素晴らしい。同じストーリーだけど、違う芝居を、見せてもらったっていうか。


冒頭、浪人・新三郎の”ウブさ”と美女・お露の”あどけなさ”。遊雀師匠の表現が本当に見事! そしてただ会場を緊張させるだけでなく、少しウィットも挟み、客席の緊張をほぐしながら、お話を進めます。しかし一瞬緊張をほぐしたからこそ、後半じわりじわりと…

…演出も加わり、一気に怪談の世界へ。怖いだけでない、情念、切なさ。遊雀師匠の名演に、どんどんのまれてしまいます。


-落語、講談、寄席……本当にすばらしい!


「同じ演目を、違う演者で二日続けて観る。」こんな贅沢を味わうことができて本当に感謝です。講談、落語、浪曲、漫才、紙切り、太神楽、活動写真弁士……。2日間様々な演芸を堪能できました。日本の話芸が次々と現れ、舞台を受け渡していく。そしてトリの牡丹灯籠につながっていく。一人ではなく、出演者全員で、そして客席も一体となって、一つの空間をつくり上げていく。寄席は本当にすばらしい!


古典を大切にしながら、新しい表現へ挑戦する。決して古典を壊すのではなく、その魅力をさらに引き出そうとする。伯山先生も。遊雀師匠も。


二日間、笑い、息をのみ、怖がり、そして胸を打たれました。いいな、演芸って。いいな、寄席って。本当に楽しい二日間でした。


★那住行政書士事務所は……★

事務所営業時間(電話受付)/9:30~18:30

電話:045-654-2334  メール:nazumi@nazumi-office.com 

ご相談、ご依頼、お気軽にお電話、メールください。



コメント


bottom of page