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【事務所だより】著作権、保護期間の延長で残った問題、戦時加算/困った時の…… 19/05/14

執筆者の写真: 那住行政書士事務所那住行政書士事務所

先週の木曜、金曜と本欄で著作権の保護期間延長について書きましたが、その続きです。

今回、保護期間の延長が議論されている時、戦時加算の問題についても、いろいろな方面から声があがっていました。今回の延長に合わせて、戦時加算を解消できないか、という議論です。

戦時加算とは何かと言うと、第二次世界大戦終結後、大戦で闘った国々の著作物が戦争中の日本においては保護されていなかったということで、サンフランシスコ講和条約において、第二次世界大戦において日本が闘った相手国の著作物を、通常よりも長く保護するというルールです。

これまで例えばアメリカ合衆国の人の著作物は、通常よりも約10年、長く著作権が保護されていました。

つまりこれまでは保護期間50年+約10年=著作者の死後約60年間、アメリカの著作者は日本国内において著作権が保護されてきました。

今回著作権が20年延びるということは、この約10年分が吸収されることになります。だからうまい具合に、この、今現在まで唯一残っている不平等条約と言っていい、日本国に課せられた義務を解消できないか、という議論がおこっていたのです。

しかしながら、戦争を経て締結されたサンフランシスコ講和条約の内容を変更しろということは、現実的には非常に困難なことです。その結果、法的には保護期間70年+戦時加算分が、今後も対象国の著作者については、著作権が保護されることとなります。

ただ、日本政府もこの問題について何もしなかったわけではなく、一連のTPP交渉において、TPPの交渉国こなで戦時加算義務を負っている各国(アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア)とは、個別に交渉し、文書で

(1)戦時加算問題への対処のため,権利管理団体と権利者との対話を奨励すること (2)必要に応じて,これらの対話の状況及び他の適切な措置を検討するため,政府間で協議を行うこと

について確認しました。あくまで「今後は戦時加算分の権利を行使しないこと期待する」というものであり、今後どうなるかは定かではありません。しかし、問題解決への第一歩であることは間違いないと思います。

5月13日月曜日……ちょっとやらなくてはならないことがたまりすぎています。そのためほとんど外出していません。そのためここに上げる写真がありません。困った時は……ネコの写真でも上げておきます。

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