他の行政書士事務所とは違う当事務所の特徴の一つとして、当事務所では「著作権」に関する業務を多く扱っております。行政書士事務所における「著作権絡み」の取り扱い件数は、全国1位……と、言うと言いすぎでしょうか。ま、統計が無いので何とも言えませんがそれなりに扱っております。
さて、そういたしますと著作権に関する質問、ご相談が当事務所には多く寄せられます。ここのところ立て続けに頂いたご相談が「著作権が70年に伸びたというが、既に著作権が切れていた人は復活するのかどうか」ということです。ご質問頂いた方へは個別に回答しておりますが、ここでもご紹介しておきます。
著作権の保護期間は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の協定締結に絡み、協定が昨年12月30日に発効したことから、個人の方の著作権については「死後50年」から「死後70年」に延長されました。そのため本改正が適用されるのは、(保護期間が70年になるのは)協定発効の時点の前日(平成30年12月30日の前日)で著作権が切れていない方々については、保護期間が切れていない、著作権者の方々となり、死後50年から70年に延長されることになります。
著作権の保護期間は「属する年の翌年から起算する」(著作権法第57条)と、なっていますので毎年1月1日に、保護期間が切れパブリックドメインとなります。
つまり2018年1月1日までに著作権の保護期間が終了してしまっている方々……
例えば二十四の瞳の壺井栄先生、言語学の時枝誠記先生などは、今回の法改正により著作権が復活するということはありません。(時枝先生懐かしいな~。私文学部日本文学科出身なのですが、専門の授業では言語学が一番難しかった)
これは一度保護が切れた著作物等については、その保護を後になって復活させるという措置は採らないという原則があるためです。これまでの著作権法改正でも例えば、平成9年に写真の著作権が公表後50年から、他の著作物と同じように死後50年と変更された際も、すでに切れている著作物については保護期間が復活することはありませんでした。そのため写真の中には写真家の死後50年経っていない写真であっても、既に著作権の保護期間が切れているものもあります。
一方2019年1月1日に、著作権の保護期間が終了しパブリックドメインとなるはずだった方々……
例えば 赤毛のアンの村岡花子先生、時代小説の子母澤寛先生は、20年著作権が伸び2038年12月31日まで保護期間が続くことになります。
著作権の保護期間は、団体名義の著作物や、映画の著作物など、原則と違う扱いのものもあります。また旧法との関係で保護期間が異なるものもありますので、著作物を利用する際には注意が必要です。 もう一つ、今回の法改正において解消されることが期待されていた「戦時加算」の問題が残ってしまいました。このことについては、明日、書きたいと思います。
5月8日(木)いろいろと出歩きながら、夜最後は、杉並区の阿佐ヶ谷へ。多分初めて降りた駅なのですが……あら、阿佐ヶ谷ってけっこうDEEPな通りもあるのですね。
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