というこの連載は決して、著作権について深く勉強することが目的ではありません。「なんとなく」で良いので著作権についてイメージをもってもらって、「ものを作る人」から見ればどうすれば自分の作品を権利を守ることができるのか、「ものを使う人」から見ればどうすれば犯罪を犯さないで済むかを知ってもらうことを目的としています。
前回までは こちら から。
1 著作権法の概要(前回からの続き)
c.著作権法の目的について
具体的に、著作権法に定められる著作権とはどのような権利なのか、見ていきたいと思います。
著作権法の目的は、第1条に次のように定められています。
【著作権法 第1条(目的)】
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
「もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」と明確に書き示されている通り、著作権法はまず「文化の発展に寄与すること」を目的としています。
その目的を達成するためには、著作物を創作する著作者等の権利を保護する必要があります。しかしその保護は無制限に与えられるものではなく、条文上においては「文化的所産の公正な利用に留意しつつ」という「規制」が加えられています。
「文化の発展に寄与」するためには、著作者等の財産上の利益、人格的な利益を保護し、創作に対する苦労に報いる必要があります。そのように保護しなければ新たな創作が行われず、「文化の発展」が実現しなくなってしまうからです。一方でその「文化の発展」による利益を享受するのは、著作権者等だけではなく、国民全体です。
そこで権利の保護を図るためには様々な調整が必要となってきます。
著作権法はこのような目的のもと、著作権者等の様々な権利を定めるとともに、著作物の円滑な利用が図られるよう、「権利制限規程」「裁定制度」といった、一定のルールを定め、権利者の権利保護と、利用者の利便性を調整した法律となっています。
この「調整」というのが、著作権を少しややこしくしているのかもしれません。
冒頭に例をあげた、ダイヤモンドが輝くアクセサリー、ブランド物の時計、舶来物のネクタイ……これらは「有体財産」「有体物」などと言われますが、「有体財産」「有体物」については、民法206条において「所有権」が定められています。
「所有権」においては、所有権者は、その「物」に対し、使用・収益・処分を行う、排他的な権利を有しています。つまり「所有権」を持つものに、絶対的な権利があるわけです。
しかし「著作権」においては、その権利が必ずしも絶対的なものとは言えません。様々な調整が、著作権法の中には定められているのです。
例えば……小説の作者である小説家は、
その小説をコピーしたり、印刷して出版することについては「複製権」という権利をもっています。しかし小学校等の授業において、必要最小限度の印刷をしたり、入学試験問題の問題として使われることについては、権利が制限されています。つまり小説家からOKをもらわなくても自由に利用できます。
その小説を有料の公演で「朗読」することについては「口述権」という権利をもっていますが、入場料など一切とらず朗読する人がギャラも一切うけとらないような状態で「朗読」することについては、権利が制限されています。このような場合も小説家のOKは必要ありません。
このあたりのことについてはのちほど、またあらためてお話をします。
◆当事務所でお手伝いできること/費用等について
★著作権に関する様々な業務を承っております。
・契約書の作成、チェック 等
・出版契約書
・利用許諾契約書
・出演契約書
・商品化、ライセンス契約書
・小説の舞台化に関する契約書
・秘密保持契約書
・著作権譲渡契約書
・請負契約書
・利用規約の作成
・著作権の利用許諾代行手続き
・言語、写真、イラスト 等
・所蔵資料の著作権調査
・JASRAC、日本文藝家協会等への利用許諾申請代行
・音楽出版社、レコード会社等への利用手続き(隣接権)
・著作権者不明の場合の裁定制度申請
・作家、クリエイターの遺言書作成
・著作権の絡む相続手続き
・出版社、著作権管理団体への届出
・作家・クリエイターへの補助金・助成金申請サポート
・社内のコンプライアンス研修
・社内の著作権利用マニュアルの作成
・ライセンス調査のサポート
★費用について
大まかな金額については 業務報酬 のページに記載しております。
ただし業務内容により、金額が異なる場合がございますので、詳細は、別途当事務所までお尋ねください。
いずれの場合でも、最初にお見積りを提示し、ご納得いただいた上で作業を開始いたします。
◆お問い合せ/ご相談
那住行政書士事務所で著作権に関する様々な業務、企業・クリエイター・アーティストの様々な法務サポートを行っております。
お気軽に当事務所までご相談ください。
事務所で対面でのご相談の他、ZOOM等のリモート相談、お伺いしての出張相談も対応いたします。
電話/045-654-2334
mail:nazumi@nazumi-office.com
著作権・作家支援・アート法務特集サイト
法務通信(行政書士事務所発オウンドメディア的ページ)
※本サイトに掲載の情報は必ずしも最新のものとは限りません。本記載は投稿日現在の法律・情報に基づいた記載となっております。また記載には誤り等がないよう細心の注意を払っておりますが、誤植、不正確な内容等により閲覧者等がトラブル、損失、損害を受けた場合でも、執筆者並びに当事務所は一切責任を負いません。
Comments