1 著作権法の概要
a.形のないものに対する権利
この連載は決して、著作権について深く勉強することが目的ではありません。「なんとなく」で良いので著作権についてイメージをもってもらって、「ものを作る人」から見ればどうすれば自分の作品を権利を守ることができるのか、「ものを使う人」から見ればどうすれば犯罪を犯さないで済むかを知ってもらうことを、まずは目的としています。
そこでだいたい、次のようなお話をしていきたいな~と。
・著作権法の目的条文 →つまり、著作権法とはどんな法律なのか
・著作者と著作物 →つまり、著作権法とは、誰を守って、何を守っているのか
・財産権と人格権 →著作権法の「中身」の基本的な部分です
・存続期間 →著作権はいつからはじまり、いつまで続くか
・原則「使わせない」例外「使える」
→著作権法の「建付け」を考える上で重要な部分です。
まずは「著作権法とはどんな法律なのか」そんなお話からスタートさせます。
皆さんはクリスマスに、彼女に、彼氏に、奥様に、旦那様に何かプレゼントは考えていますか? 例えばダイヤモンドが輝くアクセサリー、ブランド物の時計、舶来物のネクタイ……これらのように「形のあるもの」は誰からみても、その物がそれなりの価値があると考えることは容易であると言えます。
一方で、「形のないもの」についてその価値を考えるとなると、少し戸惑ってしまうかもしれません。彼女へ、彼氏へ、奥様へ、旦那様への「愛」にはどの程度の価値があるのでしょうか? って、考えるとちょっと無粋ですが、世の中には「形のないもの」であっても価値のあるものが数多く存在します。
では、「形のないもの」についてはどのように価値を定めていけばよいのでしょうか。また、盗難などの被害を防ぐためには、どのように守っていけばよいのでしょうか?
「形のないもの」の価値を定め、その価値を守るために設けられた制度、その一つが著作権です。形がなくても価値がある。つまり、その価値を持っている人にとっては財産ですから、無体財産権と総称されることもあります。そして無体財産権の多くは、人の知的な創作活動から生み出されることが多いことから、知的財産権(※)とも呼ばれます。
さて、この連載のテーマは著作権です。しかし著作権について考えるためには、まずは著作権に関する周辺の権利についても知っていなければなりません。そこでまずは「知的財産権」の種類と、その中における著作権の位置づけについて説明いたします。
<※……知的財産権>
『知的財産基本法』(平成14年12日3日法律第百二十二号)においては「知的財産」とは「発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。」(同法第2条1項)と定義されております。また「知的財産権」については「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。」(第2条2項)と定義されております。
b.知的財産権の種類
無体財産権、知的財産権にはいくつか種類があります。ここではそれぞれを簡単にご紹介すると……
① 著作権……思想や感情の創作的表現である著作物などを保護(著作権法)
② 特許権……発明を保護(特許法)
③ 実用新案権……物の形状や構造、組み合わせによる考案を保護(実用新案法)
④ 意匠権……工業的なデザインについて、形状・模様・色彩のデザインを保護(意匠法)
⑤ 商標権……商品やサービスなどを示す、識別可能な標識(文字、図形、記号など)を保護(商標法)
⑥ 回路配置利用権……半導体の回路配置を保護(半導体集積回路の回路配置に関する法律)
⑦ 育成者権……植物の新品種を保護(種苗法)
⑧ 営業秘密など…業務のノウハウや顧客リストなどを保護(不正競争防止法)
上記①②③④⑥⑦は知的な創作活動から直接産み出される創造物に対する権利です。人が考え、新たな創作を行うことによって生み出されるものに、価値を与え、守っていかなければ、新たな創作を行う意欲がなくなってしまいます。そこで法で権利を定め、それぞれの価値を守っています。
⑤⑧は仕事上、営業上での信用を維持するための権利である。例えば、行政書士のマスコットキャラクターである「ユキマサ」は、日本行政書士会連合会によって商標登録が行われています。「ユキマサ」は行政書士のイメージアップに一役買っているが、このキャラクターが勝手に自由に使われて、何かイメージの悪いことに使われてしまうと、それは行政書士のイメージダウンにもつながってしまいます。そのような混乱がおきないようにするため、権利が定められ法で保護されています。
これらの知的財産権のうち②~⑤をまとめて「産業を発展させる上で守っていく必要な権利」であることから産業財産権と総称されます。
また近年では、農林水産物・食品等の名称を保護するため「GI(地理的表示)」を定め、地理的表示法で保護されています。
<+α より深く学ぶためには……>
知的財産権について網羅的に学ぶのにおすすめなのは、知的財産教育協会がおこなっている「知的財産管理技能検定」の「公式テキスト2級」がおすすめです。
◆当事務所でお手伝いできること/費用等について
★著作権に関する様々な業務を承っております。
・契約書の作成、チェック 等
・出版契約書
・利用許諾契約書
・出演契約書
・商品化、ライセンス契約書
・小説の舞台化に関する契約書
・秘密保持契約書
・著作権譲渡契約書
・請負契約書
・利用規約の作成
・著作権の利用許諾代行手続き
・言語、写真、イラスト 等
・所蔵資料の著作権調査
・JASRAC、日本文藝家協会等への利用許諾申請代行
・音楽出版社、レコード会社等への利用手続き(隣接権)
・著作権者不明の場合の裁定制度申請
・作家、クリエイターの遺言書作成
・著作権の絡む相続手続き
・出版社、著作権管理団体への届出
・作家・クリエイターへの補助金・助成金申請サポート
・社内のコンプライアンス研修
・社内の著作権利用マニュアルの作成
・ライセンス調査のサポート
★費用について
大まかな金額については 業務報酬 のページに記載しております。
ただし業務内容により、金額が異なる場合がございますので、詳細は、別途当事務所までお尋ねください。
いずれの場合でも、最初にお見積りを提示し、ご納得いただいた上で作業を開始いたします。
◆お問い合せ/ご相談
那住行政書士事務所で著作権に関する様々な業務、企業・クリエイター・アーティストの様々な法務サポートを行っております。
お気軽に当事務所までご相談ください。
ご相談予約は こちら から。
事務所で対面でのご相談の他、ZOOM等のリモート相談、お伺いしての出張相談も対応いたします。
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著作権・作家支援・アート法務特集サイト
法務通信(行政書士事務所発オウンドメディア的ページ)
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