著作権法等の改正事項について、令和3年1月1日から以下の事項が施行されます。特に「侵害コンテンツのダウンロード違法化」 については、一般の方々にも多くの方に影響する事項となります。
(1)侵害コンテンツのダウンロード違法化(民事)
侵害コンテンツを「侵害コンテンツであることを知りながらダウンロード」した場合、私的使用目的であっても違法となります。音楽・映像分野はこれまでも違法とされてきましたが、今後はすべての著作物が対象となります。
ただし、
・漫画の1コマ~数コマなどの「軽微なもの」のダウンロード
・二次的著作物(二次創作・パロディ)のダウンロード
・「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」のダウンロード
・スクリーンショットを行う際に違法画像等(例:SNSで用いられるアイコン画像)が入り込むこと(写り込みに係る権利制限規定の拡充(新法第30条の2)によって措置)
は、違法となりません。また、「侵害コンテンツであることを知りながらダウンロード」した場合の違法となる条件について、「重大な過失によって侵害コンテンツであることを知らずにダウンロードした場合」であっても、違法とはならないとされています。
つまり、海賊版だと知りながらダウンロードを行った場合、違法となります。
(2)侵害コンテンツのダウンロード刑事罰化
(1)により違法となるダウンロード行為のうち、①正規版が有償で提供・提示されているもの(例:市販の漫画)の侵害コンテンツを、②継続的に又は反復してダウンロードする場合には、刑事罰(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその併科)の対象となることになりました。ただし親告罪(検察による公訴提起に当たって権利者からの告訴が必要)となっております。
また刑事罰の運用に当たって「インターネットによる情報の収集その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない」とされています。
(3)著作権等侵害訴訟における証拠収集手続の強化(インカメラ手続きの導入)
著作権侵害訴訟において、証拠収集手続きの強化を図るため、以下の手続きが導入されます。
・裁判所は、対象の書類が、侵害立証や損害額計算のために必要な書類であるか否かを判断するために必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせること(いわゆる「インカメラ手続」を行うこと)ができることとする。
・裁判所は、対象の書類について専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、民事訴訟法に規定する専門委員に当該書類を開示すること(いわゆる「インカメラ手続」に専門委員を関与させること)ができることとする。
(4)アクセスコントロール等に関する保護の強化
ソフトウェア等に、そのソフトウェアが不当にコピーされないよう保護する技術等(コピーコントロールなど)が施されている場合、その技術を回避しようとする行為を規制することについて、法改正によりその規制が強化されることとなります。
例えば、そのソフトウェアを特定の人だけが使えるようにするための技術等(シリアルコードなど)を回避しようとする行為が、新たに著作権侵害とみなされる行為となり、刑事罰(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科)の対象となります。
(5)その他
プログラム登録制度において、国及び独立行政法人(国立大学法人等及び日本司法支援センターを含む。)の手数料納付義務の免除規定が廃止されます。また国が事務を行う裁定に関する手続、著作権登録原簿の謄本等の交付等に関する手続及びあっせんに関する手続について、独立行政法人(国立大学法人等及び日本司法支援センターを含む。)の手数料納付義務の免除規定が廃止されます。
これまで官報で告示すべきとされていた教科書等掲載補償金の算出方法等が、インターネット等で公表されることになります。
また出版権の制限に関する規程等についても整備がおこなわれます。
○改正法全体の趣旨・概要について
○「侵害コンテンツのダウンロード違法化」に関する各種情報について
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