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【特定行政書士】特定行政書士制度の現在地とこれからと(2)ーあらためて特定行政書士とは

1.あらためて特定行政書士とは

(1)特定行政書士とは


 まずはあらためて特定行政書士制度とはどのような資格であるか、客観的なところから見ていきたい。


 特定行政書士は行政書士法改正(平成26年6月20日成立、平成26年12月27日施行)によりできた制度であり、日本行政書士会連合会が実施する研修を修了した行政書士(特定行政書士)は、行政不服申立てに係る手続きの代理が行える。行政書士証票に「特定行政書士」が付記されるとともに、特定行政書士専用の徽章を購入することができることとなっている。


 その成立まではには各団体からの反発もあり、かなり困難な局面もあったと聞く。日本弁護士連合会をはじめとする各他士業団体等による、活発な反対活動が行われた。日本弁護士連合会のホームページで検索すると、一番古いもので、平成24年8月10日、当時の山岸憲司日弁連会長による反対声明が掲載されていることを確認することができる。(※2)

 このような声に対し、行政書士会側は、一部団体への説明や、議員連盟を通じた国会議員への陳情を繰り返し、論点を整理し、何とか法案成立にこぎつけた。


 特定行政書士が付記されるためには、改正法第1条の3 2項により、「日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了」しなくてはならない。その会則の改正に関しては平成26年12月8日日本行政書士会連合会より総務大臣宛てに会則変更の認可申請が行われ、施行日と同日の平成26年12月27日に認可された。

 翌年平成27年7月~9月にかけて、全都道府県単位会で第1回目の法定研修が行われ、平成27年10月4日には第1回目の考査が実施。その結果に基づき、平成27年12月4日に第1回目の付記が行われ、2428名の特定行政書士が誕生した。


 特定行政書士について行政書士法では次のように定められている。


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【行政書士法】

第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない

一 (略)

二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。

三 (略)

四 (略)

2 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

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(2)「審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続」とは

 では特定行政書士の業務を、法に定められた規程から考えていきたい。前述の通り、特定行政書士は「日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了」することによって、行政書士に「付記」される権限である。よってそもそも行政書士でないものは、特定行政書士になることはできない。

 例えば運転免許において「AT限定」となると自動車の中でオートマチック車のみしか運転できない、マニュアル車は運転できない免許ということになるが、「特定行政書士」は「特定の業務しかできない行政書士」という意味ではなく、「行政書士」という資格内の限られた人に「特定」の権限を与えた資格、ということになる。


 では与えられた権限とは何かというと、その権限は「許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理」すること、そして「その手続について官公署に提出する書類を作成すること。」と言うことになる。


 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続とは何か。少し広い視野から見て行く。


「行政」を巡る法律は講学上の概念において、一般的には次の三つにわけられる。

 

 ◆行政法における講学上の概念

  行政組織法 ……行政主体に関する法(国家行政組織法、地方自治法)

  行政作用法 ……行政作用に関する法(行政手続法、行政代執行法)

  行政救済法 ……行政救済に関する法

          市民の権利が行政によって違法か適法かを問わず侵害された場合、

          その権利を救済する法律

 

 行政書士が普段お客様からご依頼を受け、各種許認可の申請書を作成し、役所に提出するという作業は、前記の区分でいえば「行政作用法」に分類される「行政手続法」の中で業務を行っている。行政手続法においては、第一条において、その目的を次のように記している。


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【行政手続法】

 (目的等)

 第一条 この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

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「国民の権利利益の保護」が謳われている以上、そもそも行政手続きの段階で、国民が各種申請等を行うことについて、十分な権利保護がさえなくてはならない。行政書士が申請を代理するにあたり、申請者に不利益が発生するのであるとすえば、まずは行政手続法に則り、行政性に対して「行政運営における公正の確保と透明性」をもとめていくことが重要である。

 しかしながら、行政手続法に則り手続きを進めたとしても、なお申請者の不利益が解消されない、権利回復が図れない場合、前記の区分でいえば「行政救済法」に分類される区分の手続きに移行し、救済、権利回復を求めていくこととなる。


 救済、権利回復の方法としては大きく二つの方法に分類される。

 一つは「金銭での救済を目指す方法である」。この方法は本項のテーマからは外れるので深く入ることはしないが、損失補償(日本国憲法第29条第3項、適法な行為による損失補償)、刑事補償(日本国憲法第40条)、国家賠償(日本国憲法第17条、違法な行為による損害賠償)といったものがある。


 一方、例えば「申請をしたが不許可となった」といった「行政行為」そのものの効力を争い、救済、権利回復を諮る手段もある。

 一つは「行政事件訴訟法」に基づき、「行政行為」の効力について「裁判所」で「司法」の場で争う方法である。

 もう一つは「行政不服審査法」に基づき、「行政行為」の効力について「行政」の場で争う方法である。


 特定行政書士に認められた「審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続」とは「行政不服審査法」定められた手続きである。


 ではその手続きは具体的にはどのような手続きであるのか。


(続く)


今後の更新予定記事

初めに(2024年2月24日更新)


▼1.あらためて特定行政書士とは……

(1)特定行政書士とは(2024年2月24日更新)

(2)「審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続」とは(2024年2月24日更新) 


↓以下、近日更新予定

(3)行政不服審査法

(4)行政不服審査法2014年改正

(5)「行政書士が作成した」とは


▼2.審査請求を巡る現状

(1)不服申立件数の推移(全国)

(2)神奈川県下における現状


▼3.特定行政書士の「立ち位置」

(1)他士業の”特定”との比較

(2)目指すべきこと:個人レベルで~手引き行政書士からの卒業

(3)会レベルで~公職登用へ向けての活動

(4)まだ特定行政書士を取得されていない方へ~まずは特定行政書士になろう



参考資料

※2 日本弁護士連合会ホームページより「行政書士法改正に反対する会長声明」




※本記載は投稿日現在の法律・情報に基づいた記載となっております。また記載には誤り等がないよう細心の注意を払っておりますが、誤植、不正確な内容等により閲覧者等がトラブル、損失、損害を受けた場合でも、執筆者並びに当事務所は一切責任を負いません。







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