著作権法改正案が相次いで施行され、著作権が大きく変わります。。
この項では
・著作権の保護期間が50年から70年に
・著作権を保護するための技術を、破ろうとする行為が違法に
・重大な著作権侵害行為は”非親告罪”に
についてお伝えします。

▼TPP11締結に伴う、著作権法改正
長らく各国間で話合われていいた、貿易などの国際間条約TPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)。昨年1月アメリカが離脱したことで、いったんは頓挫したと思われましたが、その後アメリカを除く11か国によって「TPP11協定」として改められ、今年(2018年)3月、日本を含む11ヶ国の閣僚が条約案に合意し、署名を行いました。
TPPでは自動車や畜産物の輸出入のルールが協議され報道でも注目されていましたが、併せて著作権など知的財産に関する、TPP加盟国間での統一したルールについて議論され合意が為されました。そこでTPPで合意したルールに併せ国内の法律も変更する必要があり、著作権法も部分改正が行われることとなります。
著作権法をはじめとする、国内法を整備するための改正法案、そして条約自体を成立させるためにも、いずれも国会の承認が必要となりますが、今年行われた国会でいずれも可決成立しました。
またこの法律の施行には、条約の発効が必要とされていましたが、今年後半になりオーストラリアで条約が承認され、「TPP参加11か国のうち、日本を含む6か国以上が議会承認などの国内手続きを完了してから60日後」という要件が整ったため、12月30日に条約が発効、著作権の保護期間などが変更されることになりました。
★著作権保護期間が50年から70年に
著作権の存続期間が、現在の著作者の死後50年から、70年に延長されます。現行の50年のままですと、三島由紀夫の著作権は平成33(2021年)1月には著作権切れとなる予定ですが、70年となればさらに20年、著作権が存続することとなります。
なお、今年までにすでに著作権の保護期間が終了している著作権については、20年に伸びたからといって、保護期間が復活し、著作権が延長されることはありません。
★著作権を保護するための技術を、破ろうとする行為が違法に
ソフトウェアなどの利用について、管理するために施されている技術的な手段(アクセスコントロール)を、権利者の許可なく意図的に取り外す行為が、原則として著作権侵害行為となります。(ただし刑事罰の対処とはしない)
また、この回避行為を行うために、機器等を販売する行為についても、著作権侵害行為とし、この場合は刑事罰の対象となります。
今まで、刑事罰を問うには当該権利者の告訴がなければ刑事罰の対象とはならなかった、著作権侵害とされる行為の一部が、権利者の告訴が無くても、第三者の告発や、警察独自の判断による捜査などによって、刑事罰の対象とされるようになります。
具体的には、
1)対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること
2)有償著作物等について原作のまま譲渡・公衆送信又は複製を行うものであること
3)有償著作物等の提供・提示により得ることの見込まれる権利者の利益が、不当に害されること
以上の条件を満たす場合、非親告罪として扱われることとなります。